国内

「小泉だけが日本のリーダーとして存在感高い」と落合信彦氏

 国際ジャーナリストの落合信彦氏は、1960年代に初めてアメリカに渡って以来、何度となく取材でアメリカを訪れているが、一般市民が日本の首相の名前を覚えていた例がないという。そもそも印象に強く残らない上に、コロコロと代わるから、一向に名前が浸透しない。
 
 その唯一とも言える例外が小泉純一郎元首相だった、と落合氏はその存在感を指摘する。
 
******************************
 渡米した時に、特に日本と取引があるわけでもないビジネスマンからも「なぜあのコイズミという男はあんなにブッシュと仲がいいのか?」とよく質問をぶつけられたものだった。それだけ小泉に存在感があったということである。
 
 もちろん「アメリカのポチ」などと揶揄され、対米追従外交だと批判があったのは事実だ。しかし、日本の輸出企業を守るためのドル買い・円売り介入を大胆に実行できたのは、良好な日米関係が背景にあったからこそだとも言えるだろう。
 
 私は小泉のリーダーとしての存在感が高い理由は「ブレない」という点にあると考えている。それはつまり、自分自身の判断で決断し、その結果に対する責任を取る覚悟があるということである。
 
 イギリスで初の女性首相となった“鉄の女”ことサッチャー女史は「コンセンサス(合意)という言葉は大嫌いだ。私が決断して、その結果の責任は私が取ればいい。それだけのことだ」と、私のインタビューに対してはっきりと答えた。
 
 小泉にも同様の特質が見て取れる。2005年、小泉は郵政民営化を唱え、法案が参議院で否決されたら衆議院を解散した。解散に異論を唱える閣僚もいたが、その人間は罷免された。結果として選挙で勝利するわけだが、もちろん敗北していれば責任を取るのは小泉であった。
 
 ブレないでリスクを取って決断し、その責任を取る覚悟ができているという点で、小泉とそれ以降の日本の首相は全く違っている。
 
 典型的な例としてわかりやすいのが自民党を政権の座から転落させた麻生太郎だ。小泉内閣の総務大臣として郵政解散に同意するサインをしたにもかかわらず「私は実は民営化に反対だった」などと言い出した。
 
 ちょうど「かんぽの宿問題」などの民営化に関するスキャンダルめいたものが話題となっていたから、その尻馬に乗って人気を得ようとしたのだろう。目先の人気取りのために簡単に発言を覆す政治家が支持を集められるわけがない。
 
 対する小泉は、考えの軸がはっきりしていた。あくまで「小さな政府」を志向し、大企業に対しては減税を行なった。それが景気回復のために必要だと判断したからである。
 
※SAPIO 2010年9月29日号

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン