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日野原重明『よど号』事件経験したが「人生に無駄はない」

 100歳を前にして聖路加国際病院理事長として活躍する日野原重明氏。著書『生き方上手』がベストセラーとなるなど、その生き方は多くの人に影響を与えているが、日野原氏自身、何歳になっても「ハプニングを楽しむ」ことが大切だと力説する。(週刊ポスト2002年8月9日号より)

 日野原重明氏は、1970年にハイジャックされたあの『よど号』の乗客の一人である。当時、福岡で開催される日本内科学会の総会に出席するために乗った飛行機が赤軍派にハイジャックされ、4日後に韓国の金浦空港で解放されるまで、緊張状態が続いた。

「人生に、ハプニングはつきもの。もちろん僕も事欠かないよ。でも10歳のとき腎炎を患ったことでピアノを始め、音楽好きになったのだし、大学の時に結核で1年病臥した経験が臨床医として活きてもいる。いいハプニングも悪いハプニングも、人生に無駄ということはない」(日野原氏)

 日野原氏によると、良いことにせよ悪いことにせよ、これからの人生で何かが起きることを楽しみに感じるのが大切だという。それができるようになるのは、なぜか。

「僕はハプニングを楽しむことにしているからね。先日はNHK交響楽団の室内楽を指揮したよ。ある会でね、先生、振ってみませんかといわれて、つい振ってみちゃったの(笑い)。よしやっちゃおうかなという冒険心が、僕にはどうもあるのね。しかも僕の患者に指揮者の小澤征爾がいて、彼はいつも徹夜でスコア(総譜)を頭に叩き込むという。せっかくなら小澤流でやってやろうと、徹夜してスコアなしで、モーツァルトを振りましたよ(笑い)」(日野原氏)

 やはり、生き方の上手な人生の大先輩である。

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