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大前研一氏 「消費者金融の金利20%」はギリギリラインと指摘

 9月下旬、消費者金融大手の武富士が、会社更生法適用を申請した。この件について経営コンサルタントの大前研一氏が、業界事情を分析し、消費者金融の一般的な金利「20%」は高くないと指摘する。

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 消費者金融大手の武富士が東京地裁に会社更生法の適用を申請した。かつて消費者金融は、深夜枠のテレビCMや駅前の一等地に建つビルの広告看板を大量占拠し、長者番付でも各社の創業者一族が上位の常連になるほど栄えていたが、武富士の破綻が象徴するように、ここ最近は凋落著しい。

 そして今年6月に完全施行された改正貸金業法がダメ押しとなった。多重債務者問題の解決という大義名分の下、総借入残高を年収の3分の1以下に制限する「総量規制」が導入され、新規顧客が激減して全体のパイが一気に縮小した。

 しかも出資法の貸付上限金利が29.2%から20%に引き下げられた。20%という金利は一見、高いと思うかもしれない。しかし、消費者金融のコスト構造を実際に調べてみると、「広告宣伝」に7%、「返さない人たちからの取り立て」に7%、さらに「取りっぱぐれ」にまた7%ぐらいかかっている。これらだけで21%に達するから、貸付上限金利が20%だと、自分の資本コストがゼロ(普通は1.6-1.7%)としても、赤字になってしまう。
 
 このため消費者金融各社は改正貸金業法の施行に備え、広告宣伝をやめたり、店舗を減らしたりして、ようやく20%でギリギリやっていけるところまでこぎつけてきた。しかし、もはやビジネスとしては儲からない上に過払い金が経営を圧迫している。すでに独立系はアイフルが経営再建中で武富士も倒れたわけだが、資金調達面でバックアップ体制のあるメガバンク系のアコムやプロミスも事業の継続に黄信号が灯っている。消費者金融業界そのものが消滅しようとしているのだ。

※週刊ポスト2010年10月29日号

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