国内

ガラパゴス万歳!焼き鳥串刺機メーカーは「世界シェア100%」

日本にはものづくり大国としての歴史、特性を生かして、世界シェア100%を誇る会社が多く存在する。彼らの「ガラパゴス」哲学や矜持は、すべてのビジネスマンにとって示唆に富むはずだ。

* * * 
神奈川県相模原市のコジマ技研工業(従業員4人、売上高3億円)は焼き鳥、おでんなどに電動や空圧駆動で串を刺す「自動串刺機」のシェア100%企業だ。「YAKITORI」が定着した昨今では、世界中からの需要があるという。小嶋實社長(77)の話。

「馴染みの居酒屋の主人が焼き鳥串を刺すのが大変、と嘆いていたのを耳にしたのがきっかけ。機械ができたらツケはなしにしてくれるといわれまして(笑い)」

当時、国内に同業他社が16社もあった。にもかかわらず普及率が低調なのは、「人の手による串刺し」には遠く及ばなかったからだ。

そこで小嶋社長は焼き鳥屋に通い料理人の手元を眺めた。すると――。

「焼き鳥は各部位の端肉なので単純に刺すと肉の間に隙間ができる。これを防ぐため料理人は縫い針で縫うように食材を波打たせながら串を打っていた。ならば、と私はトレーの底を波打つ形にして食材を安定させてブレをなくそうと考えた」

試行錯誤の末、こんにゃくを30回振っても抜けない万能型の自動串刺機が完成。その後、コンビニのおでん製造などにも携わり躍進を遂げた。ガラパゴスにはガラパゴスの「戦略」がある。

「うちの発想は幾度となく他社にマネされました。でも低価格競争には乗らない。マネされたら、それ以上の製品を作ることに努めて毎年、改良版を発表。食材ごとに交換できるトレーは、現在1100種類を超えています。気づくとライバルは、いなくなっていましたね」

※週刊ポスト2010年12月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン