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下水処理の消毒でも死なないノロウイルス 特効薬がない

 ノロウイルスなどを原因とする吐き気や嘔吐や下痢、腹痛などを繰り返す感染性胃腸炎の流行が本格化している。その患者数は昨年の2倍以上のペースで増加しており、大流行した2006年に迫る勢いで、過去10年で2番目の多さになるともいわれている。順天堂大学医学部感染制御科学准教授の菊池賢さんはこう話す。

「この10年でノロウイルスは全国的に広まりました。以前は冬場だけ流行していましたが、いまは感染経路も複雑になり、かきなど貝類を生で食べて感染する以外に人から人への感染が多くなっていると考えられます」

 ノロウイルスが付着した貝類などの食品を食べて感染した人の嘔吐物や排泄物から、下水を通って海へたどり着き、貝類がまたノロウイルスを吸い込む。

「ノロウイルスは下水処理の消毒では死なないので、そのまま海へ流れてしまっているんです。そして、その貝類を食べた人間が発症し、人に伝染させる…。そんな循環ができあがってしまっているのが現状なので、全体的にも自然に感染者が増加しているんです」(菊池さん)

 ただ、新型インフルエンザ騒動でみんなが手洗いを慣行していた昨年より、今年流行しそうなのは間違いない。ノロウイルスは非常に感染力が強く、ごく少量のウイルスでも口から体内にはいることで感染する。しかも、「ノロウイルスには特効薬がないんです」(菊池さん)。

※女性セブン2010年12月23日号

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