国内

時給50万円、蝋燭の利益率97%…「坊主丸儲け」の仕組み

 花八層倍、薬九層倍、お寺の坊主は丸儲け。花は元手の8倍、薬は元手の9倍の利益があり、坊主は「元手なし」で儲かるという言葉だ。お寺には具体的にどんな“特典”があるのか。現役の住職であり税理士でもあるショーエンK氏が「お坊さんの恵まれた一生」を語る。

 * * *
 お寺の収入がどうなっているかを紹介しましょう。
 
 日本消費者協会のアンケート調査によると、葬儀のお布施の全国平均は50万円を超えています。しかも、過去25年の間、上がり続けているようです。葬儀での読経は長くても約1時間。つまり時給50万円、しかも、安心の現金一括払いです。

 葬儀だけではなく、「彼岸の供養」や「盆の供養」、「塔婆供養」や位牌や仏壇を新しくした時の「開眼供養」、そして、「賽銭収入」もあります。

 お寺に行くと、献灯台があり、ろうそくが「1本100円」などと書かれているのを見たことがあると思います。ろうそくは、ホームセンターなどでお徳用パックを買えば、1本あたり3円ほどです。実に、「利益率97%」というわけです。これは、民間企業がやればただの「ぼったくり」ですが、お寺は、そうするからこそ「非課税」となっています。

 というのも、判例によれば「民間事業者と価格面において競合しないこと」が宗教行為かどうかを見極める要件の一つになっているからです。「3円のろうそくを100円で売る」から、そこにありがたみ、宗教的意味が生まれるのです。
 
 このような収入のほかにも、葬儀や法事のあとで当家から頼まれて、お寺が料理店や仏具店、石材店を紹介することがよくあります。すると、のちほど業者から感謝のお気持ち、つまり紹介料が届くのです(もちろん、紹介料を受け取らないお寺もたくさんありますが)。

 このように色々な収入があり、税金も優遇されていることから、よく、「高級車を乗り回したり、飲み屋で羽振りのよい、なまぐさ坊主がいる」と、否定的なイメージで語られることがあります。

 しかし、現実にはこうした「金持ち坊さん」は少数派です。一般に、檀家数が1000を超えないと、本業だけでお寺を安定的に運営することはできないと言われます。私が兼業で税理士をしているように、お坊さんにはさまざまな「職業」を持っている方がいます。医者、弁護士、画家、料理人、中には女子大生の住職もいます。

 もっとも一般的なのが、学校の先生や市役所の職員などの「地方公務員」です。公務員の副業は禁じられていますが、お坊さんは公務員の副業にあたらないのです。

 50代になると、民間企業ではリストラを心配する方も多いでしょうが、「お寺」は基本的には潰れる心配のない“優良企業”であり、そこの社長である「住職」は定年もリストラもない安定雇用です。もちろん、60~70歳になっても、働き続けられます。

 息子に住職を継いで退職する時は、退職金がお寺から支給されます。その場合(これはサラリーマンの方と同じですが)、40年間務めた場合は2200万円までは無税となります。それでも、事実上、“会長”のような立場で仕事を続けることは可能です。

※SAPIO2011年3月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン