ライフ

100歳のゾウガメのオス・ジョージのパートナーは80歳

 諏訪中央病院名誉院長・鎌田實氏(62)は、ガラパゴス諸島のゾウガメたちを見て、限りある生命を大切に生きて、種を絶やさないように伝えて行くことは大事な仕事だと思ったという。

 * * *
 サンタ・クルス島にあるダーウィン研究所に行った。ここには、ビンタ島からやってきた『ロンサム・ジョージ』、ひとりぼっちのジョージと名付けられたオオガメがいる。遺伝子的にたった1匹になってしまったカメだ。彼が子孫を残さないと、また1亜種が世界から消える。ジョージの年齢は、100歳。必死にパートナーをつけてきた。これまでも何回か交尾が行なわれたが、いずれも無精卵でふ化に成功しなかったという。若いメスガメを入れたが、それでも失敗。現在は、遺伝子が酷似している2匹のメスを入れて共同生活させている。

「今度のメスのカメはいくつ?」と僕がナチュラリストに聞くと、「残念ながら、80歳」だという。

 カメは30歳くらいで大人になり、170歳くらいまで生きるそうだ。30歳くらいのときに、交尾する習慣がついていないと、成功しないといわれていて、ジョージもそうなのではないかと考えられている。

 一度スイスから動物マッサージのプロフェッショナルが来て治療をしたが、交尾には至らなかった。100歳でも習慣さえあれば、ジョージにも子孫が生まれる可能性はある。ベテランのメスがジョージを上手に導いてくれるといい。

 地球に生命ができて38億年。少しずつ生命は進化してきた。ひとつひとつの生命は有限である。しかし大事なことは伝えること。限りある命を一生懸命生きて、種を絶やさないように伝えて行くことは大事な仕事だと、ガラパゴスのゾウガメたちを見て思った。

※週刊ポスト2011年4月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン