ライフ

「少年時に陽気で面白い人は平均的に短命」の衝撃データ登場

 白澤卓二氏は、1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として、著書やテレビ出演も多数の白澤氏が、「『楽天的な人が長生きする』はウソだった」という衝撃のデータを紹介する。

 * * *
 これまでの長寿研究では、楽天的であることが長寿の要因の1つであることが明らかにされている。しかし、カリフォルニア大学のフリードマン教授とラ・シェラ大学のマーティン教授は今年3月に出版した『長寿プロジェクト』の中で、「楽天的すぎるとかえって短命に終わる可能性」を示唆した。

 このプロジェクトは1921年当時10歳前後であったカリフォルニア育ちの頭脳明晰な小児1500人以上を追跡した縦断的研究が基になっている。対象児は生涯追跡され、家族歴、趣味、学歴、兵役など様々な情報が収集され、長生きにかかわる要因が解析された。

 その結果、驚くべきことに、小児期に最も陽気で最良のユーモアのセンスを持ち合わせた人が、あまり陽気でなく、冗談を言う性格でもない人に比べ、平均的に短命であることが分かった。これまでの多くの長寿研究がすでに長生きをした人を対象とした横断的研究で、このように若い頃から調査を長年にわたって続けるタイプの縦断的研究では、別のアングルから長寿の要因を割り出せる点が興味深い。

 これまでの長寿研究では、100歳まで元気に生きた人を対象にしてきた百寿研究が主流であった。元気に100歳を迎えた人は嫌なことを忘れる傾向が強く、何事に対しても前向きで、いわゆる「ポジティブ思考」の人が長寿に適した性格であると結論づけていた。

 しかし、フリードマン教授は「陽気で能天気な小児は、その後の人生において健康を危険にさらすような行動を取りやすい」点を指摘している。一方、用心深く粘り強い性格は、長期にわたって長寿にプラスに働くことを強調している。

 つまり楽天的な性格は、人生の後半期においては人生を前向きに生きるための「生きがい」などにつながり長寿のプラス要因になるが、若い頃は冒険に挑んだり、危険なスポーツを選択する可能性があり寿命が短命で終わる可能性を秘めている。

※週刊ポスト2011年7月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン