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聴神経鞘腫 治療が遅れると聴力失われることもあるので注意

神経鞘腫(しょうしゅ)は神経を包む膜に発生した良性の瘤(腫瘍)で、神経鞘のどこにでも発生するが、一番多いのが聴神経鞘腫だ。腫瘍が小さく症状が出ていない場合は経過を観察するが、耳鳴り、聴力低下、顔面マヒなどの症状が認められる場合、大きさや状態に応じて、ガンマナイフ治療か手術を行なう。中には特発性難聴を起こして聴力を失う症例もあり、MRIで検査することも重要だ。

神経鞘腫は、発生した場所により聴神経鞘腫、三叉神経鞘腫、顔面神経鞘腫などと呼ばれる。いずれも良性で、がんのように急に大きくなったり、転移することはなく、1年に1ミリ程度と成長速度が遅い。

神経鞘腫の大半が聴神経鞘腫で、耳鳴りや聴力低下、顔面神経マヒなどの症状が出ることもある。続いて多いのが三叉神経鞘腫で、痛みよりもしびれなどの顔面感覚異常といった神経症状が起こる。聴神経鞘腫は毎年1万人に2~7人が発症し、20~50代での発症が多い。

東京都江戸川区にある森山記念病院の堀智勝名誉院長に話を聞いた。

「聴神経鞘腫は腫瘍が小さくても、特発性難聴で聴力低下が起こることがあります。耳鼻科でステロイド治療を実施しても効果が得られない場合は、神経鞘腫を疑いMRI検査で腫瘍の有無を確認する必要があります」(堀名誉院長)

内耳道は本来、神経しか通っていないが、内耳に腫瘍が充満することで聴力をつかさどる蝸牛神経に繋がる血管が圧迫され虚血が起こる。これにより突然聴力を失うが、早めに血流が戻れば聴力が蘇る可能性がある。

しかし、治療が遅れると神経への血流が途絶え、聴力を失うこともあるので腫瘍の大きさにかかわらず早期検査と治療が不可欠だ。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2011年10月28日号

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