椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの手術後、毎晩のようにこむら返りが起こることがある。こうした病的なこむら返りは、睡眠障害の原因や翌日まで筋肉に不快感や痛みが残ることもあり、やっかいだ。腰椎変性疾患が原因のこむら返りに対しては、深腓骨神経ブロックが行なわれている。足親指のやや上方、腓骨神経付近に局所麻酔の注射を打つことで、かなりの効果が期待できる。
こむら返りは、ふくらはぎの腓腹筋や足指筋に突然起こる、激しい痛みを伴う一過性の痙攣だ。末梢神経の異常興奮や筋肉内の電解質の異状が関与しているのではないかと考えられるが、詳細は不明だ。
こむら返りは、激しい運動後や夜間などにたまに起こる生理的なものと、糖尿病、肝臓疾患、内分泌疾患、下肢静脈瘤などが原因でほぼ毎日のようにおこる病的こむら返りに分類される。近年、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など腰椎変性疾患の患者や、その手術後に病的なこむら返りが起こることがわかってきた。
高山整形外科病院(東京都葛飾区)の伊藤博志院長に話を聞いた。
「脊柱管狭窄症の術後、足の親指付近にしびれや違和感があると訴える患者に対して、親指近くの末梢神経に神経ブロックをしました。実はその患者は、こむら返りにも悩んでいたのですが、注射後よくなったとのことでした。そこでこむら返りに悩む腰椎変性疾患患者32例に深腓骨神経ブロックを行なったところ、症状改善が66%、ほぼ改善が34%という結果になりました」
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年12月16日号