国内

強制起訴の小沢氏 不正はない、これは民主主義への破壊行為

元民主党代表の小沢一郎氏が政治資金規制法違反で強制起訴された事件は日本に大きな衝撃を与えた。たとえば、共同通信がまとめた2011年の十大ニュースでは9位に入るほどである。そんな大事件と報じられた当件について、政治ジャーナリスト・渡辺乾介氏が改めて小沢氏の見解を問う。

* * *
――小泉路線に郷愁を抱く人たちは、政権交代まではあなたの訴えた政治主導、「国民の生活が第一。」の理念に従った。しかし政権を取ると、次第に政策の転換を図り、いわゆる「政治とカネ」を奇貨として、あなたを政治的に封じ込めた。

小沢:僕の問題は僕個人のことじゃないんです。それは政権交代の生贄でもあるし、権力闘争の結末でもあるわけです。僕の問題のように、国家権力が濫用されると大変なことになるということを、政治家はみんな真剣に考えなきゃいけない。(検察・法務・司法官僚に)狙われたら、明日は我が身なんですからね。

例えばイギリスでは、国会議員がスパイ容疑で逮捕された時、与野党の議員は、国会議員を何の確証もないのに逮捕するのはけしからんと反対して釈放させた。それほど国民の代表として、民主主義のあり方というものに真剣なんだけれども、日本の場合はそこが全然違います。

この問題は政権交代の可能性が高いといわれていた2009年の総選挙の直前に起きた。現に何の確証もなかったのに、政権交代するであろうとみられている野党第一党の党首に強制捜査をかけたんですよ。こんなことが民主主義社会で許されるはずがない。(犯罪の)確証があれば別ですけれども、結局、検察が2年近く捜査しても何も不正はなかった。それでもなお強制起訴して裁判にかけるというのは、民主主義に対する挑戦、破壊行為です。少なくとも民主主義国家、法治国家では絶対に許されない。

そこをみんな考えてください。僕は一生懸命耐えて、頑張るけれども、そんなことを許していたら民主主義が成り立たない。官僚に睨まれた人はみんなおしまいになっちゃう。

※週刊ポスト2012年1月13・20日号

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