子どもの厳しい就活事情に親も安穏とはしていられない。かといって干渉し過ぎるのも困りもの。親が就活でしてあげられることなんだろうか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が、「就活を邪魔するバカ親が本当にするべきこと」について語る。
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学生にとって就活は苦行です。学生をさらに苦しめるのが親なのです。親ばかはかわいいですが、バカ親は最低です。無知なのに過干渉であることが、子供たちの就活を歪めています。親としては「よかれ」と思っての言動が、子供の就活をしっかり邪魔しています。
「まだ内定でないの?」「そんな会社知らないわよ。大丈夫なの?」 「公務員はどうなの? 安定しているわよ。予備校に通うお金、出すわよ」
よかれと思って発するこれらの無神経な発言は、もはやKY発言を通りこして、言葉責めとも言えるでしょう。子供にとっては、「うざい」と感じてもスルーしきれず、ただただ悩ましいわけですよ。
そんな親が本当にするべきことは何でしょう。突き詰めると、次の3つです「カネ、コネ、ココロ」です。
まず、「カネ」。就活にはお金がかかります。少し前のデータですが、レジェンダ・コーポレーション株式会社が発表した「学生・企業複合調査(2011年新卒)−活動後−総合調査(5月度)」によると、就活にかかる費用は全国平均で98,427円でした。
ただ、これはあくまで全国平均であり、食費、生活費を除いたデータです。都市部は89,765円、地方は129,869円となっています。地方に住んでいて都市部の企業を受けるとなると、説明会や面接のたびに交通費などがかかります。
都市部に住んでいてもそうです。埼玉の川越から大手町まで往復しただけで1,280円。説明会や面接の合間に喫茶店に寄ると、300円〜500円かかります。これが1日数回。都市部はランチ代も高いです。
出費もきつい上、就活中はバイトも普段よりは入れられないので苦しくなるわけです。家なき子風に言うならば「同情するならカネをくれ」ですな。早稲田大学政治経済学部に通う女子学生は、就活期間にお小遣いを普段より3万円UPで、毎月5万円もらっていたとか。そんな彼女は、就活中、ランチ代を浮かすために一人で牛丼屋に入るのが平気になったそうです。さすがワセ女ですね。
次に「コネ」。別にこれはコネ入社の世話をしろと言っているわけではありません。素敵な社会人を紹介しようということです。電通のあるエース級コピーライターは、学生生活に悩んでいたときに親に「面白い社会人を紹介する」と言われ、電通マンに会ったことが広告の世界を目指すキッカケになったとか。
最後に「ココロ」。就活中はただでさえ気持ちが不安定です。家に帰ったら温かいご飯がある、いつもと変わらない暮らしがある、愚痴を聞いてもらえる。この安定感は大事ですね。
親御さんには、この「カネ、コネ、ココロ」を意識してもらいたいです。そんな親が知っておくべき就活の現実を『親は知らない就活の鉄則』(朝日新書)という本にまとめました。大学生の親は必読。就活生にとっても、うざい親のいなし方、就活の最新事情がわかる本になっております。ご一読を!