ライフ

肥満な人ほど脳が小さく、薬物中毒と同様の場合もと脳科学者

人間の「3大欲」は、食欲と性欲、そして睡眠欲だといわれている。今回、そのひとつである「食欲」について解説してくれたのは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもおなじみの脳科学者・澤口俊之氏。以下、澤口氏による解説だ。

* * *
ヒトは、おいしいものを食べると報酬系が活性化し、快感物質であるドーパミンが増えます。“快感”という報酬を予期・期待すればこそ、ヒトは食べ物を探したり採ったりという、面倒で時には危険な行動さえ、進んでするわけです。

もちろん、食べることには限度がありますし、一回の食事で一定以上の食べ物を食べれば、いわゆる「満腹中枢」が働き、報酬系は活性化しなくなります。しかし一方で、おいしいものを食べないと気がすまない、イライラする、うつ的になるなどの症状がでる場合もあります。これは、食べ物中毒や依存といった病気の一種です。

実際、食べ物を食べすぎて肥満になった人の脳は、薬物中毒と同じようになっている場合があります。そのため「肥満者の脳」といういい方があるくらいです。そういう脳をもつ人は、たとえダイエットに成功したとしても、中毒症状からなかなか抜け出せないために、結局、リバウンドしてしまうことが多いようです。

さらにいえば、肥満の度合い(内臓肥満も含みます)と脳重量との間には負の相関があることがわかっています。つまり、肥満な人ほど脳は小さいということです。脳が小さいために肥満になるのか、あるいは、肥満が進むと脳が小さくなるのか、結論はまだ出ていませんが、どうやら後者が正しいようです。

また、おいしい食べ物が体や脳にプラスに働くことは間違いないのですが、その一方で、現代では、おいしいものが容易に手にはいりすぎるということが進化的、脳的に問題になっているといえます。

本来なら、おいしいものはそれなりの努力をして手に入れるべきで、太古の「狩猟」がまさにそうでした。わざわざ火を起こして焼くのも、よりおいしく、(細菌などの感染を防いで)より安全に食べるためだったはずです。そうした努力や能力と深く結びついた形で人類は脳・知能を進化させてきたにもかかわらず、食べ物中毒・依存による肥満で脳が小さくなるとは、まさに皮肉としかいえません。

日本は、肥満の人の割合が先進国の中では最低に近い3%しかいません(アメリカでは30%を超えます)。これには、和食や和菓子の存在が大きく関与しているようです。肥満が気になる人は、「おいしい和食・和菓子」を重視するというのもひとつの方法でしょう。

※女性セブン2012年2月2日号

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン