国内

日本医師会のTPP反対 診療報酬引き上げと会長選挙のため

日本医師会がTPPの反対を叫んでいる。だが、厚生労働省幹部は、「あれは日本医師会が勝手に騒いでいるだけ」と、努めて冷静な口調で語る。いったい、その裏には何があるのか。ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。

* * *
昨年より熱を帯びてきた環太平洋経済連携協定(TPP)への参加協議を巡る議論。農家からの猛烈な反対があるが、日本医師会も絶対反対の立場を取っている。仮に参加が決定した場合には、公的医療保険制度の崩壊に繋がると訴えている。

だが、厚生労働省幹部が、努めて冷静な口調でこう言う。

「あれは日本医師会が勝手に騒いでいるだけ。厚労省内部で、この件について議論らしい議論は行なわれていない」

日本医師会が警鐘を鳴らす通り、事態が推移する可能性があるならば、所管官庁の厚労省としても当然、TPP反対派に与するはずだ。しかし、コメントからも明らかなように、そうはなっていないようだ。

「それはつまり、仮にTPPに参加しても公的医療保険制度が崩壊する可能性はない、と厚労省は考えているからだ」(前出・厚労省幹部)

にもかかわらず、日本医師会が盛んにTPP反対の論陣を張っているのはなぜだろうか。この幹部は呆れ半分にこう言う。

「今年は何があると思う。日本医師会の会長選挙だ。それが反対を叫ぶ要因の一つだ。われわれ厚労省サイドとしては、そう見ている」

TPP参加反対でシャカリキになっているのは、会長選挙に出馬を予定している人物が中心となっているグループ。つまり、TPP反対運動は、会長選挙へ向けた格好のデモンストレーションになるというわけだ。

それとは別にもう一つ、大きな事情があると日本医師会幹部は言う。

「今年は診療報酬の改定作業も行なわれる。ここでTPP参加問題でゴネれば、政治サイドからある種の譲歩を引き出して、診療報酬の大幅な引き上げにつなげることができると医師会サイドは踏んだのだ」

高齢化により増大する一方の医療費を抑制するため、財務省内では診療報酬を抑えようという流れが強まりつつある。そんな中で、TPP反対は、医師の実入りに直結する診療報酬を引き上げるための格好の「お題目」だったということか。

※SAPIO2012年2月1・8日号

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン