夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(60歳)が住宅メーカー勤務の奥様(59歳)。3歳の孫娘を溺愛しています。
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主人が「ネクタイを一緒に選んでほしい」というので、デパートへ行くことに。でも、到着すると私の足は子供服売り場へ。孫のために選んでいるだけで楽しいんです。
しばらくすると、主人がイライラ声で「オイッ! 何時間選んでるんだ!」と怒りながらやって来たので、「あらっ、気付かなかったわ。あなた、いたんだ。自分でネクタイを選んでいると思ってた」というと、この言葉が主人の怒りに火をつけたようです。
「何のためにデパートに来たと思っているんだ!」
「孫の服を買うためよ」
「ち、違うだろ」
怒りで呂律があやしくなった主人は、「オレのニクタイを買うためだろう!」「肉体? エロジジイみたいなこといわないで!」
はっと気付くと、人だかりで「あの人、痴漢みたい」と主人を指さす人も。黙りこんだ主人を無視し、再び、孫の服選びを始めた私でした。
※週刊ポスト2012年2月10日号