夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(36歳)が不動産会社勤務の奥様(38歳)。苗字は「坂本」です。
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「飲み過ぎはいかんちゅうが、酒のうまさはたまらんぜよ~」
今夜も主人の土佐弁に顔をしかめる私です。主人は埼玉出身で、高知とは何の関係もないんですが、一昨年の大河ドラマ『龍馬伝』の放映の頃から、「苗字が坂本なら、あの龍馬と何か関係あるんですか?」と、仕事先でいわれることが多くなったんだそう。
最初は「関係ないです」といってたらしいんですが、「取引先の連中と飲んだ時、酔っ払って『曾祖父が龍馬と従兄弟同士です』といったら、全員が僕に尊敬の眼差しだったんだよ」。
それ以来、「いかんぜよ!」などと、土佐弁を連発し始め、本籍地も高知に移そうとする始末。なんでも、新しい取引先の課長に「生まれも高知?」と聞かれ、「本籍地は龍馬の生家の側なんですよ」と答えちゃったんだとか。調子に乗ってウソをエスカレートさせる主人、ほんとに信じられません。
去年の11月15日、龍馬の命日なんて、会社の上司から「京都へお墓参りに行くんだろう?」といわれ、「もちろんです!」と、会社を休んだんですよ。本人ですか? 一日中家にいて、「何もすることがなくて、暇じゃきにのう」と、ゴロゴロしながらつぶやいていました。
※週刊ポスト2012年2月17日号