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国家公務員「給与7.8%削減」の礼賛報道 実は誤りだった

 珍しく与野党が手を組んで官僚の楽園に改革の手を伸ばした――そう信じて膝を打った国民も多かったに違いない。与野党合意に基づいて、国家公務員の給与を一気に7.8%下げる法案が衆参両院でスピード可決され、成立した。

 大メディアは「思い切った改革」「政治主導の成果」ともてはやすが、官僚べったりの記者クラブがそういうのだから、現実は逆だと思えばいい。

 案の定、この給与カットは見事な八百長で、実は官僚にとって痛くもかゆくもないことが本誌の調査で発覚した。順を追って嘘を暴いていこう。

 まず「平均7.8%削減」「総額6000億円を震災復興に」という大新聞・テレビの大見出しそのものが大間違いの大恥だ。

 そもそも法案にはどこにも給与を7.8%削減するとは書かれていない。「課長以上の給与・手当を10%削減」「係員の給与・手当を5%削減」など、個別に削減率が決められているだけだ。「7.8%」というのは総務省が記者クラブに説明した数字なのだが、この計算には、当初は削減対象にならない自衛隊員の給与・手当が入っていない。簡単にいうと、「削減対象になっている人の削減率は平均7.8%」という意味で、「公務員給与が7.8%減る」わけではない。

 だからとんでもない誤報につながる。国家公務員給与・手当の総額は約3.8兆円。これに7.8%を掛けると年間およそ3000億円になる。だから法律が定める2年間の削減で約6000億円が浮くというのが記者クラブ・メディアの報道根拠なのだが、こちらの計算では自衛隊員を含めた公務員全体の給与・手当を元にしている。本誌試算では2年間で約5300億円というのが正しい数字である(実際にはそんなに減らさない可能性が高い)。

※週刊ポスト2012年3月16日号

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