国内

これ以上、民主党に日本の舵取りは任せられないと大前研一氏

 間もなく東日本大震災から1年が経つが、復興は遅々として進まない。その原因は民主党のリーダーシップ欠如にあると大前研一氏は指摘する。

 * * *
 方針も示さないで復興構想会議に丸投げした民主党政権はあまりにも無能・無策である。3.11から1年近くも過ぎてようやく復興庁を設置するという“鈍足”に加え、まだどのように東北を復興しようとしているのかさえわからないという体たらくで、霞が関の官僚だけが復興庁の設置によって“焼け太り”したのである。

 しかも、あろうことか野田政権の発足後は永田町で東北復興や原発事故対策の声が急に小さくなり、代わって社会保障と税の一体改革に伴う消費税の増税が最大のアジェンダになってしまった。実際、復興構想会議は昨年6月に提言をまとめて以降は機能を停止し、野田政権になってからは11月10日の1回しか会合を開いていない。

 政権交代後の2年半、民主党は党内抗争に明け暮れ、足の引っ張り合いに終始してきた。首相が3人代わり、3.11後の最もホットなトピックスは全く意味のない「菅直人降ろし」だった。その間に、多くの大臣が失言などで回転ドアのようにクルクルと目まぐるしく交代した。従来なら陣笠議員にすぎない面々が次々と入閣し、大臣経験者だけが“量産”されたのである。

 このため、今は官僚たちがサボタージュを始めている。どうせ大臣はすぐに代わるのだから、真面目に仕事をしてもしょうがない、というわけだ。加えて次の総選挙では民主党が負けて再び政権交代が起きるとみられているので、本音の部分では協力しなくなり、当面、自省の権益確保に集中している。

 もはやこれ以上、民主党にこの国の舵取りを任せておくわけにはいかない。このままでは東北は真っ当に復興することができず、日本経済全体が一段と疲弊してしまう。今の日本に進出する外国企業があるとは思えないし、ITやバイオのトップ企業が東北に大挙立地するとも思えないが、とりあえずそういう白昼夢のような「復興計画」になっている。

 ビジョンもリーダーシップもなく、ましてや危機管理の基礎知識もない民主党政権には、さっさと退場してもらわねばならない。高みの見物をしていた自民党も同罪である。これは国家のメルトダウンである、という危機感だけは共有したい。

※SAPIO2012年3月14日号

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
“もしトラ”リスクも…(写真/AFP=時事)
【緊迫する中東情勢】イラン・イスラエルの報復合戦、エスカレートすれば日本にも影響 “もしトラ”リスクが顕在化
週刊ポスト