国内

東京スカイツリーのLED照明開発 入社6か月目社員が担当した

 5月22日にオープンする東京スカイツリー。自立塔として世界一の高さ634mを誇るこのタワー、照明にLEDがたくさん使われているが、実はこのLED、入社して6か月の新入社員が開発担当だった。

「今月から、スカイツリーの照明開発の担当をしてくれ」

 2010年10月、パナソニック(当時パナソニック電工)に入社して6か月しか経っていなかった池畑詩織さん(24才)は、上司からこう告げられた。

「会社の一大プロジェクトに、正直、新入社員の私なんかが担当になっていいのかなと思いました。しかも、ライティングのオールLED化は世界でも例がない話。最初は失敗ばかりでした」

 当時を振り返り、池畑さんは苦笑いする。青い空にすっくとそびえる東京スカイツリー。夜の見どころは、世界初となる「オールLED化」によるライティングだ。

 タワーに取り付けられた全1995台のライティング機器は、すべてパナソニックが開発したLED。ライティングの色調は、隅田川をイメージした淡い水色の「粋」と、江戸紫と金箔をイメージした「雅」の2パターンがあり、開業後は、1日おきに「粋」と「雅」で照らされるという。

 趣向を凝らした光の演出に期待は集まるが、開発現場は試行錯誤の連続だった。同社特品事業推進グループ参事の彦根修さんが明かす。

「LEDは通常のライトアップで使うHIDランプ(高輝度放電ランプ)に比べ、光量が少ない。当初はオールLED化ではなく、部分的にLEDを使う計画でした」

 しかし、スカイツリーのライティングデザインを提案したデザイナーは「やるからには100%LED」と希望。実現に向けて、パナソニックはプロジェクトチームを発足させた。

「熱が少ないLEDとはいえ、高出力のライティングではあっという間に100度を超える高温になってしまいます。温度が高いとそれだけLEDの消耗も早くなる。10度高いだけで寿命が半減するといわれています」(彦根さん)

 LEDの熱を逃がすには、放熱板を使うことが不可欠。その放熱板の設計に抜擢されたのが、“駆け出し”の池畑さんだったのだ。

※女性セブン2012年5月10・17日号

関連キーワード

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン