スポーツ

中高年 松井秀喜応援で自分自身も応援できるとコラムニスト

 ダルビッシュ有投手のメジャーでの活躍が話題になる中、ひっそりと再起を期す選手がいる。37歳でレイズとマイナー契約を結んだ松井秀喜選手だ。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏は「松井を全力で絶賛して自分を励ませ」と説く。

 * * *
 去年、アスレチックスからFAとなり、所属先が決まらないまま2月にアメリカに渡った松井秀喜選手が、レイズとマイナー契約を結ぶことが、ほぼ決定しました。しかし、あくまでマイナー契約で最初は3Aからのスタート。チーム内の厳しい競争を勝ち抜かなければ、メジャーの舞台に上がることはできません。レイズは外野陣が充実していて、たとえ昇格しても定位置の確保は難しいとも言われています。

 ここ数年はケガに悩まされてきましたが、松井の日米での実績がいかにスゴイかは、今さら説明の必要はありません。日本球界からの熱いラブコールを断わってあくまでアメリカ大リーグにこだわり、けっして若くない37歳でマイナーからの再出発に挑む――。中年世代としては、そんな松井を全力で絶賛し、心から応援せずにはいられません。

 ま、そんな気持ちが海の向こうの松井に届くかどうかはさておき、松井を応援することで、ありがたいことに自分自身も応援することができます。「かつてはそれなりに派手に活躍したけど、今は思うように結果が出せていない」というのは、多くの中年が直面している状況ではないでしょうか。ダルビッシュのような生きのいい若手が登場して、みんなの注目はそっちにばかり集まり、自分には小さくて地味な仕事しか回ってこない……。

「もう俺の時代は終わった」と捨て鉢な気持ちにもなりがちですが、そんなときこそ松井に助けてもらいましょう。「なんでこんなことを俺が」と言いたくなる仕事やポストを振られたら、「よし、松井のようにマイナーからやり直しだ!」と自分を励ますもよし、「おっ、なんか今の俺って、松井みたいだな」と勝手に重ね合わせて悦に入るもよし。今後、松井がメジャーに昇格すれば「俺もまだまだやれる」と思えるし、仮に不本意な結果になったとしても「松井のカタキはオレが打つ!」と自分を鼓舞することができます。

 自分がリストラされたり友だちがリストラされたりしたときも、「松井だってあの年齢で再出発して、もうひと花咲かせようとしているんだから」というセリフを自分や相手に贈りましょう。年収が大きく減ったとしても、松井の年棒ほど極端ではないはずです。

 さらに、松井を通して、今後の日本のあり方を語ってしまうのも一興。酒の席で「日本は松井に学ぶべきだ。過去の栄光をいったん捨ててイチからやり直す気になってこそ、また活路が見い出せる!」といったようなことを熱く語れば、広い視野と深い見識を持っているように見えます。冷静に考えると意味不明な上に何も言っていませんが、スナックやキャバクラで野球に疎い女の子に言う分には、とくに問題はありません。

 こんなにいろんな恩恵を与えてくれるなんて、野球って本当に素晴らしいですね。さらにいろんな恩恵を授かれるように、松井の復活とさらなる活躍を祈りましょう。

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン