ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の南場智子氏、経済評論家の勝間和代氏、京都大学客員准教授の瀧本哲史氏など、経営コンサルティング会社・マッキンゼー出身者の活躍が目覚ましい。なぜマッキンゼー出身者は成功・活躍するのか。その理由を自身もマッキンゼー出身の大前研一氏が解説する。
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私の古巣であるマッキンゼーは、ビジネス界で活躍する人物を輩出し続ける企業、といわれる。
たとえば、ネットサービス会社ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の南場智子氏、医療情報専門サイトm3.comなどを運営するエムスリー創業者の谷村格氏、食材宅配のオイシックス(Oisix)創業者の高島宏平氏、著書がベストセラーで経済評論家の勝間和代氏、エンジェル投資家で京都大学客員准教授の瀧本哲史氏……たしかに「石を投げたらマッキンゼー出身者に当たる」といっても過言ではないだろう。しかも、これは日本だけの現象ではなく、欧米をはじめ世界共通の現象である。
なぜ、マッキンゼーから優秀な人材が続々と出てくるのか? 答えは簡単だ。そうなりそうな人を採用し、そうなるように育てているからである。
たとえば、私がマッキンゼー日本支社長時代、短期間でハイレベルな人材を揃えるために作った中途採用のルールは「30歳プラスマイナス2歳」、つまり28歳から32歳までの人を集中的に採用した。日本で就業経験が5年ほどあり、アメリカの大学院でMBA(経営学修士)を取得しているというプロフィールの人がマッキンゼーになじみやすいとわかったからである。
それより年をとった就業経験10年くらいの人を採用すると、日本の会社の他人の顔色を見ながら考える、などの「悪い癖」がついているため、それを直してマッキンゼー化するまでに時間がかかってしまうのだ。
一方、そうはいっても長期的によその会社から人を盗むようなことばかりやっていてはいけないということで、新規学卒者を採用し始めた。その方法は、まず「サマーリサーチ・プロジェクト」と称して有名大学にポスターを貼り、日給1万円で4年生のアルバイトを募集した。今から30年前の新規学卒者の平均初任給が13万円くらいの時代に1か月30万円だから、いつも応募者が殺到した。
その中から選んだ学生に1週間ほどマッキンゼー流の問題解決法を教え込み、今でいえば「オリンパスの経営が破綻した理由は何か」「大赤字のソニーを再生するためにはどうすればよいか」というようなリサーチのテーマを1人1個ずつ与える。その結果を私の前でプレゼンテーションしてもらう。そうすると誰が優秀なのか、すぐに見極めがつくから、最終的に10人くらいに絞り込んで採用するわけだ。
※週刊ポスト2012年8月10日号