国内

衆院議員1人に1.98億円の税金 240人に半減で470億円浮く

 戦後、国会議員数は増え続け、削減が実現したのは3回しかない。民主党は2009年衆院選のマニフェストに「衆院の比例定数80削減」を盛り込んだが、実現の見通しは立っていない。国会議員の人件費や政治活動費の原資の大半は税金である。

 では、大阪市の橋下徹市長率いる大阪維新の会が掲げた「衆院議員定数半減(240議席削減)」が実現した場合、どれだけの税金が浮くのだろうか。主だった「議員特権」に注ぎ込まれる税金を挙げていく。

●文書通信交通滞在費
年間1200万円(議員1人当たり、以下同)

 これは歳費(給与。1人当たり年間1556万円)やボーナス(同555万円)とは別に振り込まれる。「文書」「通信」「交通」「滞在」費とあるが、「文書」は国会図書館の職員に頼めばタダで調査することが可能だし、議員会館内は電話代もインターネット代もかからない。

「交通」費はJR.や航空券の無料パス(後述)があるのになぜ必要なのか。「滞在」費も、視察の場合は国から旅費が出る。しかも、このカネは非課税で、使途の報告義務もない。事実上の「第2歳費」となっているのだ。

●議員会館・議員宿舎家賃
年間2600万円以上

 2010年に総事業費1689億円をかけて建て替えられた。地下には銀行、コンビニ、レストラン、保育所まで完備。議員1人の専有スペースは約100平方メートル。執務室、会議室、秘書室の3部屋で、“非常用”の隠し扉までついている。周辺の賃貸相場に換算すると、年間2377万円。

 部屋だけではない。通信費やメンテナンス代などを含めると、1人当たり年間2600万円以上かかっている計算となる。赤坂の1等地にある議員宿舎の家賃も、周辺の相場では年間840万円に相当する。

●JR.・航空券無料パス
年間181万円

 議員の行動は「金帰火来」(金曜日に地元に帰り、火曜に東京に来る)といわれ、選挙区と東京を毎週往復するケースが多い。そのため、「JR.無料パス」(鉄道乗車証)と「無料航空券」(クーポン)が支給される。

●公用車/「国会⇔議員宿舎」送迎マイクロバス
年間226万円

 衆議院には現在133台の公用車と3台の送迎バスが、参議院には103台の車と送迎バスが1台ある(公用車は、各議院の役員に割り当てられ、さらに残りが各政党に割り当てられる)。この送迎バスとは、議員宿舎と国会を往復する送迎車である。現在は衆議院が朝2便、参議院が朝3便運行している。

 これらの車を運転する運転手は衆議院に126人、参議院に95人が所属。彼らのほとんどは公務員で、その年収はおよそ700万~800万円だ。もちろん燃料費や整備費もかかってくる。議員1人当たりに換算すると何と年間226万円が投じられている。これと別に前述の「文書通信交通滞在費」を支払う必要があるとは思えない。

●議員旅費
年間55万円

「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」第8条に、「議長、副議長及び議員は、議院の公務により派遣された場合は、別に定めるところにより旅費を受ける」と定められている。が、その実態は観光旅行に等しいといわれてきた。

●選挙経費
1回の選挙で1億3866万円

 選挙時にかかる莫大な経費も税金で負担されている。候補者のビラ作成、政見放送、新聞広告、ポスターなどにかかる費用(選挙公営費)の他、全国各地の投票所の設営費などがその内訳となる。衆議院選挙は、平均すると3年に1度行なわれているので、前回の衆院選で予算計上された額を3分割した額を表に記載した。

 これら全てを合計すると、議員1人当たり1億9761万円。国会議員240人削減を実行すれば、年間約470億円もの税金が浮くことになる。

※週刊ポスト2012年9月21・28日号

関連キーワード

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン