グループ全体で「1万人規模の人員削減」を掲げるNECは8月28日、早期希望退職制度に正社員2393名が応募したことを発表した。
NEC&関連労働者ネットワークでは、従業員側に立った早期希望退職などの面談“応戦”マニュアルを作成している。その想定問答集には次のように書かれている。
〈Q:この職場であなたの仕事はありません。どうしますか?〉
〈A:仕事はあります。もし、あえて無いと言われるのなら、管理者たるあなたの怠慢です〉
〈Q:セカンドキャリアを今使ったほうが得です〉
〈A:そんなに得でしたらあなたがお先に使って下さい〉
また、〈「これ以上の面接は止めて下さい」と、きっぱり言うことが大切〉とも記され、徹底的に会社と闘うことを勧めている。
確かに、いまの地位を守れれば、それに越したことはない。だが、一方では「リストラに応じるのも選択肢」とアドバイスをする専門家もいる。リクルーティング・コンサルタントの尾方僚氏はこういう。
「私も以前は、『会社に居続けたほうがいい』とアドバイスしてきましたが、普通の人は面談を重ねるごとに自己評価が低くなってしまう。気持ちがマイナスになった段階で転職先を探しても、転職先から高い評価は得にくい。
ならば、リストラの対象になったら、すぐに自分で転職先を探すべきです。退職勧奨を拒んで不採算部門の子会社などに飛ばされた場合、そこが倒産したら割り増しの退職金すらもらえなくなってしまう可能性も高い。今後はリストラの権利を有効活用するのも選択肢のひとつです」
※週刊ポスト2012年10月5日号