ライフ

都立墓地は競争率十倍の激戦 青山霊園は3平米で831万円

 いわゆる“行き倒れ”は法律上「行旅死亡人」と呼ばれ、官報に載って引き取り手を待つこの死亡者が急増している。死後4日以上で発見される65歳以上は年間およそ1万5000人。死後に残された骨や墓の問題に作家の山藤章一郎氏が迫った。

 * * *
 死ねばみな〈1個〉。だが現実には、骨、魂の行方に思い悩む人が増え続けている。孤独死ではなく、普通の死で頭を抱えている人の例を以下、挙げる。

●累代の墓は田舎にある。東京の私は頻繁に参りに行けぬ。すでに荒れ放題。墓を東京に持ってこられるか。手続きは? 費用は?
●東京でひとりで生きている。実家とは絶縁状態。死んだら私の骨は誰に処理され、どこに行くのか。
●収入300万円で100万もする墓は買えない。墓など、要らぬ。誰にも迷惑をかけたくない。
●永代供養とはなにか。
●出身地は北と南、はるかに離れている一人っ子同士の夫と妻。両家の墓を一緒にできるのか。

 通常、墓はいったいいくらか。安いのは、どう手に入れるのか。現在、東京郊外の山中、民間霊園は100万円で売り出す。寺院墓地なら、その倍ほど。都立の墓地は高いところで10数倍の競争率で現状、空きはない。値段は、3平方メートル、〈多磨霊園〉で272万、〈青山霊園〉が831万円。〈お墓問題研究所〉宮浦孝明代表。

「墓に入れない遺骨は、ただの産業廃棄物です。〈団塊〉が大量退職する時代に入り、社会とのつながりがなくなる。やがてさらに高齢となって墓の心配に迫られる。すると目の前に、おカネ、手続きのほか、たとえば、彫る〈家名〉をどうするか、〈永代供養〉にするかなど次々と問題が発生します。〈家名〉ではなく〈感謝〉〈絆〉に。墓地など買わず、安いロッカー納骨の〈永代供養墓〉にと。死ぬ前にやっておかなければならないことは多いのです」

※週刊ポスト2012年11月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン