テレビ番組の制作現場が予算削減の皺寄せを一身に引き受けている一方で、民放キー局は今年度も軒並み好業績を予想している。
視聴率3冠王の日本テレビは売上高3230億円(経常利益384億円)と過去最高に迫る数字。視聴率4位のTBSでさえ同3572億円(同159億円)と、前年より売上高100億円アップを見込む。
キー局が増収増益を続ける理由は、番組制作予算カットだけではない。「副業」が収益を支えているからだ。
入場券を買うまで3時間待ちという『ツタンカーメン展』。主催するフジテレビの昨年度のイベント事業収入は171億円だった。今年度は他にも映画『踊る大捜査線THE FINAL』などドル箱の副業コンテンツを抱えている。
年間150億円を不動産事業で稼ぐTBS、年間数十~数百億円単位を通販やDVD販売などで売り上げる日テレやテレ朝など、各局の「副業」が押し並べて好調なのは、当然と言えば当然だ。自局番組内で宣伝するなど、公共の電波を使って露骨に集客を図っているからに他ならない。
テレビ局以外が同じことをやろうと思えば、宣伝費が何億円もかかるだろう。とても採算が合わない。
※SAPIO2012年12月号