日本各地で激しい選挙戦が行なわれているが、選挙の花形ともいえるのがウグイス嬢だ。そして、候補者の名前を連呼するウグイス嬢の良し悪しを決めるのは美声でも顔でもなく、「目」がいいことだ。なぜか――。
「団地やマンション地帯を走る時など、遠くのベランダから手を振ってくれる人を素早く見つけて、『○階の奥様、応援ありがとうございます』と呼びかける。無視すれば1票を失いかねない。それができる視力を持っていることと注意力がいいことがウグイスの条件になる」(ベテラン秘書)
ウグイス嬢の候補者名前連呼にも、陣営ごとにルールがある。ある有力な前職は連呼の際に候補者の姓の語尾を明るく上げるよう徹底させた。新米ウグイスには、公示前に誰もいない山中で2日間、ひたすら名前を呼ぶ特訓をさせるのだ。
地元で親しまれるよう方言を使うことも欠かせない。
「東京出身だった同僚のウグイス嬢はどうしてもその土地のイントネーションが真似できなかった。すると候補者の母親から、『あなたは私の息子を落選させる気なの』とたいへんな剣幕で叱られました」(関西の議員のウグイス経験者)
公選法で定められたウグイス嬢(車上等運動員)の日当は上限1万5000円だが、これではとても割に合いそうにない。
※週刊ポスト2012年12月14日号