日本人はやっぱり鮨が好き。だが、妙に通ぶっても、慣れない態度を取り過ぎても職人からは嫌がられるもの。そこで、鮨職人に「できる!」と思わせる5つの心得を伝授しよう。
【1】「アガリ」「ムラサキ」は口にするべからず
お茶を頼む時に「アガリちょうだい」といったり、醤油のことを「ムラサキ」と呼ぶのは通でもなんでもない。これらは職人たちがカウンターの中で使う隠語で、本来客が使うべき言葉ではない。玉子焼きを「ギョク」と呼んだりするのも嫌がられる場合がある。
【2】出された鮨はすぐ口にする
鮨屋の店主は鮨ダネとシャリを提供する温度にも気を配っているため、出された鮨はすぐに食すのが鉄則。東京・目黒区には握りたての鮨を客に手渡しで提供する名店も存在する。客がおしゃべりする間に鮨ダネが乾いていくのを辛い思いで見ている職人は多いのだ。
【3】醤油は鮨ダネにつけ、シャリにはつけない
シャリに醤油をつけて食べては、せっかくのシャリの甘みと温度が損なわれる。鮨ダネ側に醤油を適量つけるのが基本だ。ウニやイクラの軍艦など鮨ダネが崩れてしまいそうな場合は、ガリを使ってチョンチョンと醤油をつける方法もある。職人にあらかじめ煮きりをリクエストしておくのもよい。
【4】同業他店の話題は口にするな
通ぶる客に多いのが「あそこの店は旨かった」など他店の評判を口にすること。店側にも他の客にも嫌味に感じられることが多いので控えた方がいい。
【5】食べる順番は「お店」に任せよ
「玉子焼きを最初に」「シメには巻物を」などと決めている客も多いが、特にルールはないので好きなものから順に食べればよい。基本的には淡白な味のものから食べるのが無難である。しかしその日の仕入れの状態は店の人間にしかわからない。その日のお勧めを聞くか「おまかせ」にするのが一番よい。それが職人への信頼の意を示すことにもなる。
※週刊ポスト2012年12月14日号