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近視なら老眼にならないは迷信 焦点の調節能力は衰えるもの

 眼の悩みを抱えていては、明るい世界も暗いものに見え、「人生の彩り」にも影響を与えかねない。「眼の老化は仕方がない」と諦めてしまうのはもったいない。シニアの心を曇らせる眼の障害とその最新治療法を紹介する。

 近視の人は老眼にならないという間違った思い込みをしている人は多い。加齢による眼の病気に詳しい川北哲也・慶応義塾大学医学部眼科講師が話す。

「老眼は加齢により眼の焦点を合わせる調節力が衰えることです。近くのものを見るときに焦点が合わせづらくなります。当然、近視の人も調節能力は衰えていきます」

 だから近視用コンタクトを使う人が、その上から老眼鏡をかけるケースもある。

「眼にメスを入れる」という治療法に抵抗のある人にとって、手軽に利用できるのが遠近両用コンタクトレンズだ。川北氏は最近のシニア世代の老眼対策について、こう話す。

「団塊の世代以降は、コンタクトレンズに違和感を持たない人が多い。そういう人にとっては、コンタクトは便利な方法です。最近では、遠近両用コンタクトを使用する人が増えており、マルチフォーカルという近くのものにも遠くのものにもスムーズに焦点を合わせることができる新しいタイプのコンタクトレンズも出ています。

 眼科によっては遠近両用コンタクトの取り扱いがないところもあるので、コンタクトレンズに詳しい眼科医に相談してみるといいでしょう」

 従来の遠近両用コンタクトレンズはコンタクト中央部が近用度数で外側が遠用度数と、2つの焦点が分かれて置かれているものが多く、その境目の落差が大きいため、ゆがんで見えたり、小さい字が見えにくい欠点があった。同心円状に近用と遠用が交互に置かれているタイプもあるが、境目があるという点では同様だ。

 この欠点を補って、より自然に見えるようにしたのがマルチフォーカルレンズだ。レンズ中央から外側に近用、中間用、遠用と度数がなめらかに変化していくため、どこに視線移動しても瞬時にピントが合う。

 最近では酸素をよく通す次世代素材「シリコーンハイドロゲル」を採用したレンズも複数のメーカーから発売されている。2週間使い捨てタイプで、6枚入り(片眼)約3000円が相場だ。

※週刊ポスト2012年12月21・28日号

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