1年の計は元旦にあり。今年1年を楽しく過ごすために、お正月気分を盛り上げるためのひと工夫を大人力コラムニストの石原壮一郎氏が語る。
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新年あけましておめでとうございます。どんなお正月をお過ごしでしょうか。それにしても、昨今のお正月はぜんぜんお正月らしくありません。スーパーもコンビニも開いてるから何の不自由もないし、晴れ着で歩いている人も少ないし、子どもがたこ揚げや羽根つきをやっている光景はほぼ絶滅しました。
これは由々しき問題です。人生にはメリハリがなきゃいけません。お正月にちゃんとお正月気分を味わってこそ、また新しい一年に立ち向かう気力が湧いてくるというもの。世の中の雰囲気がアテにならないなら、自分でお正月気分を盛り上げてしまいましょう。それが大人の気概です。
お正月気分を盛り上げるためには、やはり「お約束」をこなすことが大切。どんどんなし崩しで減っていくお正月の風物詩の中で、比較的がんばっているのが「お節料理」です。いろんなところで既製品のお節が手軽に買えるおかげかもしれません。
お節を食べるときは、「今年もマメに過ごせるように黒豆、ってね」「昆布を食べて喜ぶ、と来たもんだ」などと、それぞれの食材に込められている「意味」をわざわざ呟いて、お正月を念入りに実感しましょう。ちなみに、数の子は子孫繁栄、黄金色のきんとんは財宝、穴が開いているレンコンは先を見通す、海老は腰が曲がっているから長寿、といった意味があります。
家族から「もう、なに言ってんのよ」と呆れられるのも織り込み済み。「いろいろ考えてあるよなあ」「はいはい、そうですね」といったありきたり過ぎるやり取りが、お正月であることをさらに強く感じさせてくれるはずです。「今年のお節は絶品だなあ。オセチだけに、ちょっとオセジ……」といったお正月ならではの軽口を繰り出すのも一興。
「雑煮って言ったって象を煮てるわけじゃないだぞー」「おい、さっき外をふたりのお坊さんが通ったぞ。和尚がふたりでオショウガツー、なんてね」なども、お正月にしか言えません。まず間違いなくスベリますが、年の初めに自分に度胸を付ける効果はあります。
あらたまって「新年の抱負」を立てるという行為も、お正月気分を盛り上げてくれるでしょう。普通に立ててもいいのですが、せっかくなら「2013年」や「平成25年」にちなんだ抱負を立ててみるのもオツなもの。たとえば「2013……においさ……か。よし、今年はあらゆる気配を敏感にかぎ取れる人間になろう」「平成25年だから、いつもニコニコ過ごすとするかな」といった感じでしょうか。
なんてことを全部実践すれば、お正月っぽさ満点のノンキでおめでたい気持ちになれること請け合いです。けっして楽な道のりではありませんが、ノンキな気持ちになるために、歯を食いしばってがんばりましょう。2013年が幸多き年でありますように。