現在、順調に店舗を増やす「東京チカラめし」は、個室居酒屋というスタイルを提案した『東方見聞録』や、一品270円という価格破壊を実現した『金の蔵Jr.』などを成功させてきた三光マーケティングのグループ会社。なぜ彼らは、「松屋」「すき家」「吉野家」という3強が寡占状態の牛丼業界に殴りこみをかけたのだろうか? 同社の平林実社長は、挑戦の理由をこう語る。
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『東京チカラめし』を始めた際、「吉野家などライバルの御三家とどう勝負するのか」と散々聞かれました。でも、私に言わせれば、これは御三家との戦いではないのです。コンビニエンスストアを含めた、すべての外食産業がライバルだと思っています。
さらに言えば、本当のライバルは自分自身です。格好つけるわけではないですが、「敵は我にあり」。現状で満足してしまう自分、アイデアを出すことを止めてしまう自分、常識に囚われている自分、怠け心を起こしている自分……。こうした自分にいかに打ち克つか。
「何くそ」と立ち上がるために、自分の願いや望みが何かを自問し、確かめるのです。それを実現して幸せになりたいと一歩踏み出せば、誰にでもチャンスがある。特に若い人たちには、私のような「ガード下の定食屋(※)」からでも気持ち次第で面白い人生を歩めることを知ってほしいですね。
(※)平林氏は1975年、神田駅ガード下にわずか5坪の「三光亭」を開業。そこから氏の挑戦は始まった
※SAPIO2013年2月号