相次ぐトラブルで運航停止を余儀なくされたボーイング787。現在、米FAA(連邦航空局)はバッテリーが発火した問題を重視し、製造元のGSユアサに立ち入り検査に入っている。同社を犯人扱いする報道も目につくが、電池の研究が専門の山形大学大学院理工学研究科・白方雅人教授はこう指摘する。
「あの焦げ方を見れば、電池本体の問題ではなく、過充電が疑われ、電池ではなく配線もしくは電源管理システムに問題があったと察せられる。米運輸安全委員会(NTSB)は、電圧は正常だったと発表しましたが、電圧がかかっていなくても強制的に電流が流れれば電池は燃えるのです」
GSユアサは三菱の電気自動車やホンダのハイブリッド車にリチウムイオン電池を供給しているが、自動車では同様の事故は1件も起きていない。
仮に電池に問題がなければ、逆に原因究明には時間がかかってしまうという。
「システム全体の中で電池に過度な負荷がかかっていることになれば、配電の問題ということになる。検査に1年かかっても不思議ではない」(早稲田大学アジア研究機構・戸崎肇教授=航空政策論)
※週刊ポスト2013年2月8日号