今年の花粉症、東日本での花粉の飛散量は昨年比で最大7倍に及ぶと見られている。花粉症は、鼻や喉などの粘膜に入った花粉の成分に対し人体が引き起こす異物反応の表われだ。くしゃみや鼻水で花粉を排出しようとする体の免疫反応が、過剰に反応し過ぎることで発症する。
また、原因となる花粉の種類は国内では約60種類もあり、複数の花粉症を併発している人も多いといわれている。スギやヒノキの他にもシラカバやケヤキ、クヌギ、キク科のブタクサやヨモギなどへのアレルギー反応が知られている。
「自分は花粉症ではないので関係ない」という方も多いだろうが、決してそんなことはない。今年の大量飛散の恐ろしさは、これまで発症してこなかった人も今年こそ危ない、というのだ。順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学主任教授の池田勝久氏が解説する。
「花粉症は体内に蓄積されたアレルギー成分が、その人の体質による容量を超えたときに発症します。つまり、コップから水が溢れた際に発症するイメージです。昨年まで大丈夫だった人が今年大量の花粉に晒された結果、限界を超えて発症するということがあるので油断ができません」
また、ずっと苦しめられてきた症状が昨年出ず、「もしかして治ったのでは」と思っている人も注意が必要だ。池田氏がこう警鐘を鳴らす。
「花粉症を放置して完治することは極めて稀で、治療による完治率も高くはありません。昨年、たまたま症状が出なかったといって予防対策を怠ると、今年はひどい症状に悩まされる可能性が高い。自己判断で治ったと思い込まないことです」
※週刊ポスト2013年2月15・22日号