支持率も高く、上々の滑り出しを見せた安倍晋三首相にとって鬼門になりそうなのが2月下旬に予定されている日米首脳会談だ。昨年末に「オバマ大統領と1月中に会うと約束した」と自信満々に訪米を言明しながら、米国側から屈辱的な門前払いをされた経緯があるだけに、ようやく念願がかなっての訪米となるが、そこでは米国からTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加の表明という踏み絵を迫られる。
安倍訪米をめぐる日米の水面下の交渉では、早くも日本側が大幅譲歩を強いられた。経済産業省の幹部が語る。
「米国側は首脳会談で日本のTPPへの交渉参加表明を強く要求している。日本側は岸田文雄・外相を訪米させ、茂木敏充・経産相と江藤拓・農水副大臣がダボス会議で米国のカーク通商代表と会談するなど複数のルートで交渉を続けた。それは、安倍総理が訪米時に米国産牛肉の輸入規制を大幅緩和するというお土産を持っていく代わりにTPP交渉参加表明は7月の参院選後まで先送りしてもらおうとしたからだ。
しかし、米国は強硬で、首脳会談で安倍総理が『聖域なき関税撤廃という前提条件がなくなれば、交渉に参加する用意がある』といった条件付き交渉参加のコミットメントを出さざるを得ない情勢だ」
※週刊ポスト2013年2月15・22日号