プロ野球のキャンプはこれまでに数々の「武勇伝」を生んできた。たとえば、オリックス時代の仰木彬監督は、現役当時そのままの豪遊で鳴らした。
練習が終わると待ちかねたように、「これからが俺の時間や」と、記者や選手たちを連れて、率先して夜の街に繰り出していた。
「オリックスがキャンプを張る宮古島は狭い島です。道すがら、あら監督さん、今夜もお元気で、と誰もが挨拶してくる。
監督は“おお、あんたも一緒に”と手当たり次第に誘って行列ができて、毎晩が飲めや歌えやの大騒ぎになる。監督はいつも100万円をポケットに入れておき、なくなったら解散という飲み方だった」(スポーツジャーナリスト)
それでも翌朝はいの一番に球場入りして、外野のランニングで酒を抜く。
「飲みながら今シーズンの戦力構想を練り、戦術をシミュレーションした」という仰木監督も今は鬼籍に入った。昔の野球、今いずこ、ではある。
※週刊ポスト2013年3月1日号