ビジネス

秒速で1億円稼ぐ男・与沢翼氏は月に3000万円は現金で支払う

 平均株価が、リーマンショック直前の終値を4年半ぶりで上回った日に、池袋西口のマクドナルドを訪れると、家があっても帰れない、仕事を失い住む場所がないなど様々な事情をもつ人たち、100円で夜を過ごす〈マクド難民〉の姿があった。一方で、ひと晩に100万円を遣う男がいる。ひと晩100万円飲む男、ネオヒルズ族・与沢翼氏を作家の山藤章一郎氏がインタビューした。

 * * *
「1000万円稼いだら頭の中にリアルな札束が浮かぶんです。でもいつも現金だから、よく落とす。こないだも酔いから醒めたら150万の時計がない。じゃ、今日中に500万稼ぐぞって。ぼく、六本木では超有名なんで。車のナンバーも覚えられて。みんなわあっと来る。じゃ飲みに行くかあで、一晩100万は絶対遣いますもん。平均したらいくらぐらいかなあ。月3000万円は遣ってるな。はい、カードじゃなく、全部現金で」(与沢氏・以下「」内同)

 池袋〈マクド〉の100円で眠る人たちと出会った同日午後2時、六本木。地下鉄駅より徒歩5分、六本木通り〈フォルクスワーゲン〉の入ったビル4階にあがる。

 黒を基調とした調度品にかこまれた若き会長は丁重に応じる。30歳のアンちゃんである。だが、ただのアンちゃんではない。いま最もふところにカネが唸る立志の人物である。

 JR東日本の関東域に自著『秒速で1億円稼ぐ条件』(フォレスト出版)の広告を顔写真入りで出した〈与沢翼〉という。〈(株)Free Agent Style Holdings〉会長。

 超ミニの秘書がさっと紙コップのお茶を淹れてきた。

 グループ月商4億円、成功報酬型広告と呼ばれる〈アフィリエイト〉で稼いだカネを元手に、投資ファンドやメルマガ配信などのネット関連事業のオーナーを務め、〈ネオヒルズ族〉と呼ばれる。

 どこか幼さを残した80キロに迫るぽっちゃり体型である。この若き立志伝者に「カネアル」話はきりがない。一軒家、マンションなど5か所の住まいの総家賃は月800万円。

 200万円のスーツを着、4000万円のベントレーやフェラーリを持ち、7000万円のロールスロイスファントムで移動する。

 会長室には、「人生は一度きりやりたいことをやりたいようにやれ」の色紙、大きな額の中で鋭い眼光を放つ虎、ヴィトンのトランク、バッグが散らばり、高級酒のが並ぶ。秩父の山奥育ち、母はいまも小学校教師、父は超大手企業役員。小6で大宮市に出てきた。いじめられて、中学校でグレた。高校中退。16歳で警察に検挙され、われに返った。

「こんな交友関係をひきずっていては、本当に駄目になる。不良をやってても成功はできない」

 土木作業員、板金屋、クロネコヤマト……大人に交じって仕事を覚え、大検を取得して早大社会科学部入学。〈カバン持ちインターンシップ〉に参加して、企業の社長の薫陶を受け、アパレルのビジネスを興した。月商1億5000万円の会社もつくったが、

「店舗展開やブランド急拡大が失敗して破産し、精神的にヤバくなった。10代で、喧嘩や暴走ばっかりやってたんだから、ビジネスなんかオレにできるわけない、オレはカスだ、人生の底辺を這いずりまわるんだと思いましてね。

 いや、辛かったですよ。ジェットコースターみたいに上がったり下がったり。なんでオレはこうまで成功したいのか、そのことも、いまもってよくわからない。ヒルズに住みベンツに乗って、渋谷マークシティの一等地にオフィス入れて、それが叶った瞬間に、なんだろうって。毎月たくさんの金が入ってくるけど、それがどうしたんだろうって。

 値段のついているものは、なんでも買えますけど。でもなあって。で、いまの目標はダイエットなんですよ。朝から夜までアポ入ってるから食べる時間がない。夜遅くにラーメンと焼肉とストレスのドカ食い、酒飲んで。

 25歳くらいからどんどん太ってきました。みんなに、35歳ぐらいで死ぬんじゃないのって言われて。それを回避しなきゃ、まずいっす」

※週刊ポスト2013年3月29日号

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン