ソフトバンクモバイルは21日、SoftBank 4G LTE対応スマートフォンにおいて、イー・アクセスが展開する1.7GHz帯のネットワークが利用可能になる「ダブルLTE」を開始した。
同社のスマートフォンは、これまで2.1GHz帯のネットワークを利用してLTE通信が行えたが、イー・アクセスが展開する1.7GHzにも対応。2つの周波数帯を活用し、基地局の混雑状況を共有することで、“混雑していないほう”を自動で選択するため安定した通信が提供できるようになる。当初の対応機種は、iPhone 5、iPad mini、iPad Retinaディスプレイモデルで、ネットワークが混み合う都心部からサービスを提供していく。
混雑といえば、基地局にアクセスが集中してデータ通信が行えなくなる障害、いわゆる “パケ詰まり”現象が問題になることがあるが、ソフトバンクでは「ダブルLTE」および、ひとつの基地局あたりで“まかなう”人数を150人と、NTTドコモの600人、auの600人に比べ大幅に少なくする「小セル化」により、トラフィックを分散。快適な通信環境を実現していく構えだ。
ダブルLTEを開始するにあたり、記者会見をひらいたソフトバンク孫社長は、「つながりやすさ No.1」にもっとも力を込める。2008年から2012年3月までの間に音声通話のデータトラフィックは1.3倍の伸びであるのに対して、データ通信は60倍に伸びているというデータを示し、今後ますます通話よりデータ通信の比率が高くなることを説明。スマートフォン時代のつながりやすさは、何よりも「パケット接続率でNo.1になることが重要」とした。
そして、孫社長は昨年同社が“悲願”ともしていたプラチナバンド(900MHz帯の3G回線)を獲得して以来、現在基地局数を計画より前倒しで増設していることをあげ、実際に「音声接続率」(調査:イプソス社)と「パケット接続率」(同、Agoop社)ともに3キャリアで1位になったとアピール。さらに2014年3月末までに、2.1GHzおよび1.7GHz対応基地局をあわせ、LTEの基地局を約3万8,000局まで急拡大させる方針であることを明らかにした。
「つながりやすさ No.1」のために、イー・アクセスの買収は必然だったという孫社長は、最後に質問にこたえる形でアベノミクスについても触れ、「景気が回復する傾向は非常にいいと思うが、成長のエンジンとしてITが占める部分が大きいため、もっとITの成長戦略に着目してほしい」と締めくくった。