ビジネス

日本版ISA 5年間非課税も持ち越し利用で6年目以降延長も

 日本にも2014年から少額投資非課税制度(日本版ISA)が導入されることになった。この制度では、年間100万円までの投資に対し、譲渡益や分配金に課税されず、非課税期間は5年間となっている。どのようにしてこの制度を使いこなせばいいのか、日本版ISA に詳しいフィデリティ退職・投資教育研究所所長、野尻哲史氏が解説する。

 * * *
 2014年から、個人投資家を取り巻く税制が大きく変わる。投資収益への優遇税率10%が本則の20%に戻る一方で、日本版ISAがスタートするのだ。

 日本版ISAは、譲渡益や分配金などに課税されることなく投資ができる仕組みだ。対象となるのは上場株式と公募株式投資信託で、上限は年間100万円。非課税期間は5年間なので、一人あたり最大500万円まで適用される。また、100万円以下なら他の年のISA口座に持ち越し(ロールオーバー)ができるので、実質的には5年を超えて非課税枠を利用できることになる。

 ただし、対象は新規投資に限られるので、すでに保有している株式や投信をISA口座に移動させることはできない。また一度使った枠の再利用はできないため、売却してしまえばもうその非課税枠は使えなくなる。たとえば、1年目に投資した100万円が翌年に110万円になったからといって売却してしまうと、たとえ非課税期間があと4年残っていてもその枠で新しい投資はできない。要するに、ISAは売買を繰り返す投資より、長期で保有しながらじっくり増やす投資に適しているといえる。

 この制度の狙いは、老後に向けての自助努力が必要とされる世代の資産形成をバックアップすることだ。「日本版」と銘打っているのは、そもそもISAは1999年にイギリスでスタートした制度だからだ。イギリスのISA(現地ではアイサと呼んでいる)の資産規模は個人金融資産の9.2%に相当し、対象となる16歳以上の45%が制度を利用している。しかも、口座開設者の58.7%は年収2万ポンド(280万円程度)未満と、庶民の資産形成手段として広く浸透しているのだ。

 この制度のメリットを最大限活用するには、計画的に投資をしていくことが必要だ。以下に、世代別の活用法を紹介しよう。

 まとまった投資資金がねん出しにくい30~40代は、毎月の収入の中から投資信託を使ってコツコツと積立投資をしていくのがおすすめだ。といっても、積立で年間100万円の枠を使い切るには、毎月8万円強の投資が必要になるので、一般的な収入の世帯にとっては上限まで投資するのは難しいだろう。それでも、可能な額で投資を続ければ十分メリットは享受できる。

 たとえば、月額4万円を積み立てて1年目に総額48万円を投資し、それが5年後に52万円まで増えた場合、それを全額6年目の口座にロールオーバーするのだ。するとその年に残り48万円の枠内で追加の非課税投資ができる。6年目にも月額4万円ずつ、総額48万円の積立ができれば6年目の投資額はちょうど100万円となり、全額非課税の対象にできるというわけだ。

 非課税期間が終わっても、すぐに売却する必要はない。期間中の収益には課税されずに通常の特定口座や一般口座に移すことができるので、ISAを長期投資のきっかけと考えて積立を続けていくのがおすすめだ。この世代が投資する商品は、長期で考えてリターンの大きい商品がいいだろう。

※マネーポスト2013年春号

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン