東京都の猪瀬直樹都知事が、都営バス・地下鉄の24時間運行の構想を明らかにしたが、都内で深夜営業を行なう飲食店が終電以降の集客に期待を寄せる反面、タクシー業界は大きな危機感をもってこのニュースを受け止めている。これまで、終電後の移動手段はほぼタクシーしか選択肢がなかったが、公共交通機関の24時間運行が実現すれば、どんなに深夜になろうと、安価で帰宅することができるようになるからだ。
もちろん、無駄なお金を使わなくて済むのは、歓迎すべきこと。深夜に女の子を口説き落とすコストも、格段に安くなるのは間違いない。だが、なんでも安く済ませようという風潮には異論も出ているようだ。現在、製菓メーカーの社長を務める男性A氏(63歳)は、バブル全盛期を振り返りながら、こう語る。
「バブルの頃は、六本木で遊んだ女の子にはタクシー代だよって3万円くらい渡していたね。今と違って、帰りはみんなタクシーを使うから、なかなか空車のタクシーを見つけられなかった。だからタクシーを止めるために、お札をパタパタと振りかざして『俺のところに止まってくれ』っていうジェスチャーをしたり、今じゃ考えられない時代だった」
そして、公共交通機関の24時間運行実現で、深夜のタクシー代が節約できると考える世の男性に対しては、こう苦言を呈する。
「俺から言わせれば、タクシー代は払いたくないけど都バスや地下鉄に乗れるからラッキーだと思っているような奴は、そもそも終電前にしっかりと電車で帰るべきだと思うね。女の子と一緒ならば、なおさらそういうところは男気を見せてほしいと思うよ」(A氏)