働けなかったり、働かない子供たちが親元から離れられないケースが増えている。どんな場合でも、親は不安を抱え、悩んでいる。働かない子供の姿を目の当たりにして、自責の念にかられる親もいる。
「ひとりっ子だったこともあり、息子を甘やかして育ててしまった。学校も、小学校からエスカレーター式に大学まで進めるところに入れたので、受験勉強の経験もない。競争力をまったく養えない環境で育ってきたから、目の前のことから逃げ出すような性格になってしまったのかもしれない」
とCさん(商社勤務・58歳)は話す。長男は28歳で、大学卒業後は「デザイナーになる」「ヨーロッパに留学する」などと夢ばかり口にし、就職活動は一切しなかった。結局、デザインの勉強も留学もせず、家でテレビを観たり、パソコンをいじる日々だ。「自分がまだ現役のうちに」とCさんが知人のツテを頼って就職話を持ってきても、いざ面接となると「途中で怖くなった」といって、引き返してきてしまうことの繰り返しだった。
「一度、“いい加減に自分の将来を考えたらどうだ”と怒鳴ったら、1週間も自分の部屋から出てこなかった。驚いた家内は私に”もう怒らないで”というし、どういい聞かせればいいのかわからない。このままでは30や40になっても就職できないだろう。子供の将来のためにと、無理やり小学校をお受験させたことがすべての元凶だったと、後悔してばかりいる」(Cさん)
※週刊ポスト2013年6月28日号