お金に対する伝統的な思い込みやお金の呪縛を解放することで、本当に幸せになるための方法を教えてくれる『貯めなくたって、大丈夫!』(宝島社)を上梓したはづき虹映(こうえい)さんはこう語る。
「地球上にはお金がなくても生きている人がいます。けれど、水がなければ確実に人は死んでしまう。命にとってより大切なのは水ですよね。でも、私たちは水を溜めようとはしない。お金は必死に貯めようとするのに…」
著者によると、水もお金も、さらには空気さえも本質的には同じもので、その実体はエネルギーそのものという。
「基本的にエネルギーは溜められません。水を無理に溜めておこうとしても、いつか腐りますよね。お金だって同じこと。社会の中に循環していなければ、腐ってしまいます」
言われてみれば、ああ、そうかと納得する。でも、お金がなかったら、子供の教育もできないし、病気になったときも老後も不安だから、やっぱり1円でも多く貯めておきたい、と誰もが考える。
「まさに、そういう“ないと不安だから”というネガティブな動機が問題なんです。その根源にあるのは“恐れ”です。恐れからくる不安への備えとして、いくらお金を貯めても不安は解決されません。さらなる貯金に走るだけ。それで本当に豊かな人生が送れるのでしょうか?」
そうは言っても、お金がなかったら、もっと不安で暗い日々になるのでは?
「それは、“お金があれば何でもできる。お金さえあれば幸せになり、すべての望みがかなう”と思い込んでいるからです。そんな意識にどっぷりつかっているから、お金がなくなることを必要以上に恐れてしまうんです」
まずは、「お金がない」という口グセからでも変えていくこと。「ない」に注目していると恐怖が拡大するだけで、圧倒的に損をするのだとか。とはいえ、やっぱり不安…。
「解決策は簡単です。通帳の残高の欄に、0をひとつ書き加えればいいんです(笑い)。もともとお金ってバーチャルなもの。ほとんどの人は全財産を持ち歩いているわけではなく、通帳の上で動かしているだけ。だから、通帳に0を書き込んで眺めておくだけでも違いますよ。それだけで、前向きな気分になります」
要するに「ある」に注目することで、お金のエネルギーが豊かに回り出す、と著者。日頃の買い物でも、「ああ、またお金が出ていく」と思いながら支払うのではなく、「今この品物を買える豊かさがある。ありがとう」と笑顔で。すると、支払ったお金がより豊かなエネルギーとなり、自分のところに戻ってくるのだという。
「自分の財布の中身だけで判断しないことです。日本全体でみたら、充分に豊かさを享受しているじゃないですか。今ある豊かさに注目し、感謝することを習慣にしていけば、決してマイナス思考にはならないはずです」
大胆な発想の転換で、お金の流れも変わるということか。まだ財布は軽いままだけど、心は確かに軽くなるような気がした。
※女性セブン2013年9月5日号