芸能

片岡愛之助 半沢直樹を地でいく「父の町工場」維持し続ける

 絶好調のドラマ『半沢直樹』(TBS系)で、一際存在感を発揮するのが、片岡愛之助(41才)演じる金融庁のエリート・黒崎。主人公の堺雅人(39才)扮する型破りなバンカー・半沢直樹の前に立ち塞がる役だ。そんな愛之助だが、実は私生活では半沢と同じように大阪の町工場の息子としての人生を歩んできた。

 1972年、大阪府堺市にある船のスクリュー工場を営む家に生まれた愛之助。祖父が興したその町工場で父も働いており、隣接していた自宅に3世代で暮らしていた。家の前の通りは交通量が多く、ダンプカーがひっきりなしに走る危険な場所だったため、愛之助は妹と家の中で遊ぶことが多く、内向的な少年だったという。

「家の近くには少年野球やサッカーのチームもなかったんです。それで5才の時、ご両親が友達ができるようにと松竹芸能の子役オーディションを受けさせたんですよ。それから毎週土曜、松竹芸能の稽古場に通うようになって、ちょこちょこドラマなどで見るようになりました」(近所住民)

 大阪・中座で初めて歌舞伎に出たのが小学2年生のとき。子供ながらに興味を抱いていた歌舞伎の世界、元来の真面目な性格から稽古に励んだことも大きかったが、彼には人を魅きつける才能があったのだろう。片岡秀太郎(71才)の目に止まった愛之助は、小学4年生の時、十三代目片岡仁左衛門さん(享年90)への弟子入りを勧められた。以降、「片岡千代丸」という芸名で本格的に歌舞伎を始めることとなった。

「素質があってもただの弟子ではやれることに限界があります。秀太郎さんの中では“あの子にかけよう”“跡取りにしたい”という気持ちが大きくなっていったそうです。愛之助さんのお父さんは、“一生の仕事にする気なら最善の環境に行きなさい”と背中を押してくれたそうです。お母さんも“やりたいことをやりなさい”と、愛之助さん自身に選ばせた。本音を言えば、かわいい息子を手放したくはなかったんでしょうけどね」(歌舞伎関係者)

 そうして19才になったとき、愛之助は秀太郎と養子縁組をした。それは一方で両親との決別を意味した。町工場の家業を捨て、歌舞伎の道を選んだのだから…。

 そして、悲劇は突然訪れた。1999年に母が末期がんで亡くなり、翌2000年に今度は父がくも膜下出血で倒れ、他界したのだ。離れて暮らしながらも愛し続けた両親の立て続けの死。愛之助は悲しみに打ちひしがれる日が続いた。しかし、彼は再び立ち上がった。

「明日がないかもしれないと思ったら、今この瞬間が大事」

 そこから、さらなる努力の日々が始まった。踊り以外に、長唄の三味線、鼓、義太夫の稽古にも力を入れた。ひとつでも多くの舞台を踏もうと、どんな役にも喰らいついた。

「町工場は閉めることになりました。愛之助さんは自分が歌舞伎の道に進んだことで、工場を守れなかったからこそ、自分の決めた道で絶対成功しようと思ったんでしょう」(愛之助を知る人)

 仕事に追われる一方で、愛之助は時間を見つけては両親の墓参りを欠かさない。

「仕事が決まるたびに墓参りに行って、ご両親に報告してるんです。いまだに実家にもよく帰っているんですよ。妹さんは結婚して家を出ているのでもう誰も住んでいないんですが、実家はきれいに残してあります。

 実は家を担保に数千万円単位でお金を借りているので、金銭的には返済を考えると売ってしまったほうがいいんですが、“両親との思い出がなくなってしまうのが寂しいからそのままにしている”と言っていました。彼のなかでは工場を守れなかったことに対する両親への罪ほろぼしのような思いなんじゃないでしょうか」(前出・知人)

※女性セブン2013年9月12日号

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン