ビジネス

インスタントカメラ「チェキ」 国内前年比2.5倍の売れ行き

 かつては利益の3分の2を叩き出していた富士フイルムのフィルム事業。だがその需要は、デジカメの普及もあり、2000年をピークに急速にしぼんでいった。

 そこで、同社は2005~2006年ごろにかけて、現像所や販売網を一気に減らし、世界で約1万5000人いた写真事業分野の従業員を約5000人削減。国内では1000人規模のリストラを行うなど、大ナタを振るった。

 だが、同社は決して「写真」を捨てたわけではない。前年同期比2.5倍。驚くべき勢いで販売数を伸ばしているカメラがある。インスタントカメラ「チェキ」だ。イメージング事業部チェキグループ統括の中村祥敬氏(46)が語る。

「フィルムを使ったことのない10~20代に新鮮な感覚で受け入れられています。操作が簡単でプリンターも不要。韓国のモデルが日記として使っていることで話題を呼び、海外から火が付きました」

 発売は1998年。当初は人気を呼んだが、デジカメの普及に伴いその後しばらくは「売れ筋」とは言えない状況だった。2007年頃から韓国をはじめ中国、東南アジアなどで若い女性の間で徐々に人気が出始めたことに注目した。

「“カワイイ”アイテムとなれば、若い女の子にもっと売れるのではないかと考え、ピンクやイエローなどパステルカラーの商品を昨年11月に投入し、様々な使い方も提案してきました」(チェキグループグローバル販促チーフの外山彩氏・33)

 結果、国内では今年4~8月までで前年同期比2.5倍の売れ行きとなっている。世界での販売目標は、今年度200万台。インスタントカメラと言えば「ポラロイド」の名を思い浮かべる人も多いかもしれないが、現状ではほぼ富士フイルムの独壇場だ。

 現像液が仕込まれたフィルムは容易には作れない。カメラ内部のローラーがフィルムを押し出す際に現像液を均一に滲みこませる。高度な製造技術が他社の参入を阻んでいる。

 9月には、「今までのチェキはデザインが女性向けで恥ずかしい」という男性を狙い、クラシックなデザインを採用した新製品も発売するなど攻勢を続ける。

※SAPIO2013年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン