ファッションプロデューサーの植松晃士さんは、「おブスハンター」としても知られますが、パンツルックで闊歩するオバさんについて少し厳しめに語ります。
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いきなりですが、オバさんってパンツ好きよね。なんだか女性のカジュアルファッション化が加速しちゃって、スカートやワンピースがどこかへいっちゃったみたい。右を見ても左を見てもパンツ族ばっかりだもの。
その流れはビクトリア・ベッカムのデニムブームから始まってるんですけどね。
昭和時代に青春を駆け抜けたオバさんたちは、バブル時代にボディコンワンピやミニスカートだったでしょ。そこを通り過ぎてきたからこそ、パンツが新鮮に感じちゃったんだと思う。パンツのカジュアル加減とスポーティーな印象に、オバさんは「若さ」を重ね合わせたんじゃないかしら。
「男前な女」とか「ハンサムウーマン」とか、ファッション誌でポーズを決めている脚長モデルさんに憧れたのかもね。
だけど、そこがとんでもない落とし穴。一度ハマったら抜け出せないあり地獄ともいうわね。そう、パンツには危険がいっぱいなんです。
まずいちばんの「おブス~」危険帯はその後ろ姿。お尻はふたつの山があるはずなのに、オムツしてる子供みたいにひとつになっちゃってるの。ガードルや補正下着の選び方が間違っているんですよ。一度チェックしてみたほうがいいかもね~。
さらに目をおおいたくなるのが「おっぴろげ族」。パンツをはいているから大丈夫っていう安心感なのかしら。
どんな場所でも、椅子の上で両脚が130度開いてるのよ~!
「あなた、前世ではどんな生き物だったの? 絶対に人間じゃなかったでしょ」って言いたくなっちゃう。パンツ族のご親戚筋にロングスカート族がいます。このかたたちは見た目は違って見えるけど内実は同じで私にはどちらも“おっぴろげ仲間”。そのゆるみきった股関節、閉じなくなっちゃうわよ~って言いたくなっちゃうの。それって女性としての幸せも放棄してるってこと、わかってるのかしら。「もうオバさんだから」って女性の幸せまで手放すことないじゃない~!
「筋力が低下してくると脚が開いちゃうんだから仕方ないじゃない」って言うオバさんもいるけど、私に言わせれば、意識の低下が筋力の低下、つまり老化を招くってことなの。
常にぴったりと脚を閉じるように意識していたら筋力も鍛えられます。植松的言葉で言えば「老化は気から」なのよ! コワイでしょ~。
※女性セブン2013年10月24・31日号