いわゆる“イクメン”男性社員には朗報である。去る10月29日、厚生労働省が、「育児休業給付」の支給額を、最初の半年に限って現状の「賃金の50%」から「67%」へと大幅に引き上げる案を、労働政策審議会の部会に提示した。つまり育休の半年間は、出社せずに子育てしながら給料の3分の2がもらえるようになる(半年以降は、1歳2か月まで半額を給付)。
少子化対策をアピールする安倍政権肝りの政策で、狙いは男性社員の育休を後押しすることにある。現在、育児休業を利用したいと考える男性は30%を超えているにもかかわらず、実際の取得率はわずか1.89%(平成24年度)。男性の育休取得率を向上させるのが狙いで、来年度中の実施を目指している。
実際、支給額がいくら増えるのか計算してみよう。子育て世代である30~34歳男性の平均年収は431万円(平成24年、国税庁『民間給与実態統計調査』)。月給約30万円と仮定すると、現在は育休取得中に1か月15万円が支給されることになる。これが新しい案が実施されると支給額は月約20万円に増え、月額5万円増となる。
年収による上限があるものの、多い人で月額約28万円も支給されることになり、実施前より月額7万円もアップすることになる。この施策を歓迎する子育て世代は多い。
「2年前、長女が生まれたとき、自分も育休を取ったら、嫁の友達には『いい旦那さん』と持ち上げられましたが、収入が激減し、金銭的にきつかったです。でも、支給額が増えれば経済的にだいぶ楽になりますよ。これで男性の育休が広がればいいと思う」(ベンチャー企業勤務の33歳)
しかし、なかには「半年間、給料の3分の2ももらえるなら、育児を大義名分に、長期休暇を取る感覚で制度を利用してみたい」という声もある。
「うちは共働き世帯で、嫁の年収が400万円、僕の年収は500万円です。もし一緒に育休を取得したら少なくとも半年間は月50万円が課税されずに入ってくるんですよね。住民税等あとで払わなければいけないものもありますが。嫁の実家が近いので、ちょっと子供を預けて2人でゴルフに行ったり、普通に勤めていたときにできなかったことをやってリフレッシュしたいと思います」(会計事務所勤務の36歳)
※週刊ポスト2013年11月22日号