資金力のあるチームが勝つ――世界のサッカーリーグを見渡しても、その傾向は強い。しかし、Jリーグは別物だった。最終節で首位を走っていた横浜F・マリノスが敗れ、2位のサンフレッチェ広島が逆転で2年連続のJ1優勝を果たしたが、実はこの2チーム、選手たちの年俸総額が対照的であった。
サンフレッチェ広島の今シーズンのチーム最高年俸は、日本代表経験もある佐藤寿人の5500万円(『Jリーグ全選手名鑑2013』日刊スポーツグラフ刊より。年俸は推定。以下同)。これはJリーグ全体のなかでは38位で、決して高いとはいえない。続く2位は、日本代表GKの西川周作で5000万円。優勝を決めた鹿島戦で、2得点を挙げた石原直樹は3200万円だ。
レギュラーのなかには、1000万円台の選手もいる。昨季途中にJ2の水戸ホーリーホックから完全移籍し、今シーズンは全試合出場を果たしたDF塩谷司、後半戦になりスタメン出場が増えたDFファン・ソッコはともに1200万円。プロ野球の一軍最低保障年俸である1500万円よりも少ない。
レギュラー陣の年俸が高くないと、当然ながら選手の総年俸も抑えられる。広島の5億3240万円は、Jリーグで10位。1位・浦和レッズが10億6800万円だから、ほぼ半分となる。
一方、惜しくも2位となった横浜F・マリノスは、選手の総年俸も2位の9億1050万円。中村俊輔 の1億5000万円を筆頭に、中沢佑二とマルキーニョスが1億3000万円、栗原勇蔵とドゥトラが1億円。Jリーグに13人いる1億円プレーヤーのうち、実に5人ものプレーヤーがマリノスの選手なのだ。
資金力の乏しいチームが、金銭面で上位のチームを倒し、優勝する。今シーズンのJリーグは、資金力だけで栄冠がつかめるわけではない、ということを教えてくれた。