リタイア後のシニアライフを充実させるために「地域デビュー」を試みる人は多いが、“やってはいけない掟”を理解しておく必要がある。大手金融機関に勤めていたA氏(69)は現役時代、関西の自宅に妻を残し、単身赴任で各地の支店長を歴任。退職後は自宅に戻って、妻が10年前からハマっている陶芸教室に参加することに。
その初日の言動のせいで、地域全体から孤立することになったという。A氏の妻が漏らす。
「私は一緒に行くのを嫌がりましたが、夫は『俺も一緒に行ってやる』とついてきたんです。
集会所で作品を製作した後、別室でお茶を飲むことになっているのですが、現役時代の癖で、当然のように上座に座った。しかし、そこは教室のリーダー的存在の奥様の指定席で、彼女がむっとしているのを見て、『これはマズイ』と思いました。
しかも、うちにいる時と同じように私に向かって『お茶!』と大声を上げたんです。帰宅後、終始所在なさげだった夫は『二度とあそこには行かない。他の陶芸教室を探す』と怒っていましたが、主婦のネットワークは甘くない。
あっという間に地域中に『偉そうな男』という噂が流れ、他の陶芸教室に行っても陰口を叩かれたそうで、通うのをあきらめてしまいました」
※週刊ポスト2014年2月7日号