国内

車椅子が要らなくなる? 「STAP細胞」で何が実現されるのか

 理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子さん(30才)が作製した万能細胞「STAP細胞」は、「生物学の歴史を覆す革命」とまでいわれている。この「STAP細胞」が人間への応用に成功した際、どんなことが可能になるのか。

 まず前提として、人間の全ての細胞は、さかのぼれば1つの受精卵に行きつく。受精卵が着床し、1つの細胞から細胞分裂を繰り返して人間の形になる。

 この細胞分裂の過程で、ある細胞は心臓になり、また別の細胞は肝臓に、神経に…と分化していく。つまり、分裂を開始する前の最初の細胞は、あらゆる体の部位になる機能を有しており、この細胞を「万能細胞」と呼ぶ。これまで、一度分化した細胞は、元(万能細胞)には戻せないとされてきた。

 しかし、今回の小保方さんの研究によって、分化した細胞でも、弱酸性の溶液に浸すだけで万能細胞まで“初期化”させることができる、ということが判明したのだ。医学博士の中原英臣さんがこう語る。

「自分の細胞を取って弱酸性溶液で培養するだけで、脳や心臓、皮膚、歯など、あらゆる組織が作れるようになるということです。例えば、子宮がんで子宮を全摘した女性から、細胞を採取して万能細胞を作れば、患者の子宮を再生させることができるわけです。切断された腕や足も、同じ方法で再生できます。90才になっても赤ちゃんのような肌でいることも可能です。自分の細胞からなんでも作れるので、今後、“移植手術”自体がなくなる可能性さえあります」

 京都大学教授の山中伸弥さんも、「iPS細胞」という万能細胞を作ることに成功し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。しかし、iPS細胞を作る手法というのは、4つの遺伝子を細胞に注入し、さらにその細胞の核を受精卵に移植したりと、極めて高度で複雑なバイオテクノロジーを駆使しなければならなかった。

 そこまでやっても初期化の成功率はわずか0.2%で、加えて、そうして初期化した細胞は、がん化しやすいという問題もあった。

「小保方さんの発見した方法は、複雑なプロセスもなく、単に外部刺激だけという笑ってしまうほど簡単なもので、しかも初期化の成功率はiPS細胞の数十倍、がん化のリスクもずっと少ないわけです」(中原さん)

 実際、ハーバード大学の研究で、脊髄損傷で足が不自由になった猿の脊髄にこの「STAP細胞」を移植したところ、足が動くようになったという研究結果まで出たそうで、後日、論文で発表されるという。「STAP細胞」が実用化されれば、車いすや義足も必要なくなる世の中になるかもしれない。

※女性セブン2014年2月20日号

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン