ライフ

機械と対決をする屋敷伸之九段 人間が将棋を指す意味を語る

将棋の屋敷伸之・九段

 技術の進歩とともに「人間の仕事」は機械に奪われている。ともすれば人間の存在価値にさえ疑問が生じる現代にあって、最も複雑で機械には不向きとされてきた将棋の世界でも昨年の「第2回将棋電王戦」で現役のプロ棋士が初めてコンピューターソフトに敗れた。「人間vs機械」の戦いでリベンジを目指すプロ棋士側の大将格として、今年3月から始まる電王戦に登場するのが屋敷伸之・九段だ。同氏は「機械が人を凌駕する時代」をどう見ているのか。

──昨年の「電王戦」はプロ棋士側が1勝3敗1分で負け越すという衝撃的な結果となった。今年、敢えて参戦する理由は?
 
屋敷:前回の電王戦最終局の解説をさせていただいた時に、「GPS将棋」がほぼ完璧な指し回しで三浦弘行・九段(当時八段)を破りました。GPS将棋は前年の世界コンピューター将棋選手権の覇者で、東大駒場キャンパスにある約670台のマシンをつないで計算しています。どんな将棋を指すのか注目していたところ、これがとんでもなく強かった。自分がソフトと戦ったらどうなるか、ぜひやってみたいと思いました。
 
 加えて電王戦が将棋の新しいファン層の拡大につながる期待もあります。対局の模様がニコニコ動画で生中継され、前回は延べ200万人以上が視聴しました。これまでの将棋界にはこうしたエンタテインメント性を求めるイベントはほとんどありませんでした。対局中にどちらが優勢かをリアルタイムで数値化して表示するなど、仕掛けも面白いと感じています。
 
──コンピューターの強さはどこにあるのか。
 
屋敷:人間同士の戦いでは、仕草や表情といった「息づかい」から相手の心理を感じ取れます。悪手を指した後はどうしても落ち着きがない所作になる。こちらは指し手そのものだけでなく、そうした仕草まで見た上で悪手をどう冷静に咎めるか、といったことを考えるわけです。
 
 ソフト相手ではそれができませんから、普段の将棋とはかなり異質な戦いになってしまいます。また終盤に入り、詰むか詰まないかという「答え」がある局面ではソフトはほぼ間違いません。人間はプロであっても時間に追われて焦ったり、動揺から悪手を指してしまったりしますが、機械は常に冷静です。

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン