芸能人によるDNA鑑定が話題だが、犬の世界にもDNA鑑定は存在する。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導する西川文二氏が、犬のDNA鑑定について解説する
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DNAによる親子鑑定をしたら、他人だった。なんて、芸能人のゴシップネタが、ワイドショーを賑わせてましたな。犬の場合、書面上の親子関係は血統書でわかる。でもですね、この血統書ってのが、かつてはいい加減なもんだった。で、いつかしらその記載事実確認のために、犬もDNAを調べるようになった。
血統書を申請するのは、母犬を有してる繁殖者たち。いい加減な輩がいっぱいいてですね、気がついたら雌犬が胎んでたなんてこともあった。当然父親はわからない。で、適当な雄の血統書を元に、でたらめな血統書を申請してた。さらには、ドッグショーでチャンピオンなどのタイトルを取ってる犬の子供ほど高値で取引されるってんで、確信犯的に偽造しちゃう、なんてひどいのもいた。
まぁ、購入した方の中には、疑いを持つ御仁もでてきますわな。なんてったって、ヨークシャテリアだといわれて購入したのに、大人になったらそうは見えない、なんてことがあったわけですから。当然血統書がらみのもめ事も絶えなかった。そこで90年代に入ってDNAによる親子鑑定が可能になるとともに、血統書の発行団体がDNA鑑定を取り入れてった。
そうだ、思い出した。先日知人から聞かれた。「ペットショップのショーウインドウに『Ch直子』って表示を最近よく見る。犬の世界では〈シーエイチなおこ〉って名前が流行ってるの?」って。
あれ、「チャンピオンちょくし」って読みます。親はドッグショーでタイトルを取っていますのよ。嘘じゃありませんわよ。なんならDNA鑑定していただいてもかまいませんのよ。ちょっと値が張りますけどその分、ご近所に自慢できますわよ、オホホ……って意味。
はたして私のパートナー犬達はどうか。歴代みな雑種。可愛さに、血統なんて関係ないっすからね。
※週刊ポスト2014年3月14日号