本誌女性記者が、なんでも気さくに話せる学生時代からの男友達と食事に行った時のこと。「ちょっとトイレ」と言って席を立った彼が、妙に早く戻ってきた。冗談半分で「手、ちゃんと洗ってきたの?」と言うと、彼は何食わぬ顔で、「えっ? おれ、“小”のときはいちいち洗わないよ。別に汚くないし…」。
ガ~ン!! さっきからサラダやらパスタやらを同じトングを使って取り分けて食べてたけど、もしかしてアレを触ったままの手で持ってたわけ? 一気に食欲が失せてしまった。
この話を女友達にしてみると、「え~っ、やだ~」と共感してくれる人が多いものの、なかには、「えっ? 私も周りに人がいるときは一応手を洗うけど、ハンカチを持ってないから、人がいないときは洗わない」と言う人もいてビックリ。これって、私の周りだけ?
津田塾大学教授で哲学博士の萱野稔人さん(43才)は、記者の疑問に対し、教え子の女子学生たちに調査してくれた。
「いや~、ぼくもけっこう驚いたのですが、女子学生でもハンカチを持たない人が増えているようです。化粧はちゃんとしてるのに、ハンカチで手を拭かない。なかには水で洗って濡れた手は、髪の毛で拭くという学生もいて…このギャップはなんだろうと思いますね」
トイレの後には手を洗い、ハンカチで拭く? それはもはや日本人の常識とはいえないのかもしれない。
記者が都内某駅の女性トイレで見ていたところ、1時間に利用した48人のうち、ハンカチやハンドタオルを取り出したのは25人とほぼ半数。残り23人のうち14人はハンドドライヤーで手を乾かしていたが、9人は指先をちょこんと濡らし、ピッピッとはじいただけで出て行った。
『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)などの著書のあるエッセイストの犬山紙子さん(32才)も“持たない派”だ。
「手は洗うけど、ハンカチは持っていません。ハンドドライヤーで乾かしたり、なければポケットティッシュで拭いたりしています。私の印象でも、ハンカチを持っていない人は多いですね。持っている人を見ると『きちんとしてるなぁ』と思うくらいですから。トイレで見ていると、ハンカチよりもグロス所有率のほうが高いかもしれない」
犬山さんが見てきたハンカチを持たない女性には、こんな特徴があるという。
「一見清潔感があり、髪もきちんとセットされていて、こぎれいなニットなどを着ているイメージです。ただ、のりの効いたピシッとアイロンのかかったシャツ姿の女性は少ないですね」(犬山さん)
つまり、決して不潔ではなく、服装にも充分に気を使う女性たちでも、今やアイロンをかける必要のあるハンカチは持たないというわけだ。
※女性セブン2014年3月27日号